百菜健美☆こんぶ家族ラボ

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うまみ

2019-07-28 | 昆布

和食を世界に知らしめた立役者、京都の料亭・菊乃井の村田吉弘。
「日本料理は盆栽でなく大木にすべき」

昨年、料理人としては初の文化功労者に選出された村田吉弘。

京都の料亭・菊乃井の三代目は、2013年、和食をユネスコの無形文化遺産に登録させた立役者でもある。

伝統的な「和」の先人が語る、日本の神髄と未来とは。

京都の菊乃井本店はミシュランの3ツ星、木屋町の露庵と赤坂店は2ツ星を獲得している名店である。

最高の味とサービスを提供し続ける村田吉弘に、まず、日本のデザインの根源について尋ねた。

「それは、本阿弥光悦だと思います。思想的には、観世流の元祖・観阿弥と世阿弥でしょう。

日本文化が求めてきたものは、節度と品位なのです。

『秘すれば花』、言わずもわかれという文化で、花弁一枚で花満開の吉野山を思い浮かべる。

これは他の国にはありません」。

では日本料理の中心は何かと尋ねると、「うま味です。うま味を中心に料理を構成するのは、日本人だけです」と即答した。

世界の料理は脂質を中心としているからである。

うま味とは、昆布のグルタミン酸や鰹節のイノシン酸、椎茸のグアニル酸などで、かつては概念と捉えられていたが、2002年に受容体が発見され、五味のひとつと認定された。

それからは、うま味を欧米の料理人も研究するようになっている。

村田は、日本料理の技術やノウハウは一子相伝ではなく、広く伝えるべきと考え、欧米のシェフにも菊乃井の厨房で学ぶ機会を与えている。

「ロンドンのヘストン・ブルメンタールやフランスのパスカル・バルボら、世界のトップシェフは、うま味とは何かとへばりついて、出汁から動きません」。

 

 

▲菊乃井で用いる最上級の利尻昆布。

 

いろんな種を蒔いてください

 
村田は経営の神様と称される稲森和夫の薫陶を受け、経営塾「盛和塾」の初期メンバーのひとりとして学んだ。

その素地からか、料理を通じて見る世界は、広く、哲学があり、具体的である。

異なる文化でも伝える努力をすれば、やがて共感を得ることができる。

ユネスコの登録は大きな反響があった。

それまで日本料理の店舗数は世界で5万6000軒だったが、登録後は12万3000軒に増大した。

その99.8%は日本人料理人が不在だ。

日本料理の一次産品の輸出量は3倍となり、農産物の輸出額は1兆円を目指す規模まで拡大している。

日本のインバウンドは3倍に、京都では5倍に膨れ上がった。

 

この状況を村田は「日本料理は、ようやく苗木になりました」と形容した。

その後、枝葉が伸びてきたら、切り落とせば恰好は整う。

だが、それはしたくない。

「僕は日本料理を盆栽にする気はないんです。大木にしなきゃいけない」。

カリフォルニアロールが生まれた際は賛否あったが、やがて一部は淘汰され、本来の寿司も世界で知られるようになった。

「喜んで食べてくれたら、いずれちゃんとした方向へ向いていく。そのために、いろんな種を蒔いてください」。

 

 

日本の子どもが飢えへんためには、どないすんや

 

実際に、村田はさまざまな種を蒔いてきた。

04年に日本料理アカデミーを設立したのもそのひとつである。

前述した世界のトップシェフとの交流や、食育など、幅広い活動を継続している。

現在は300人ほどの会員がいるが、その3分の1は研究者で、コツやカンと捉えられがちだった和食の調理法を科学的、理論的、定量的に考察し探究している。

それらをまとめ「日本料理大全」という、これまでにない日本料理のバイブルにして出版している。

 

アカデミーを設立したのは、日本の未来への危機感からだ。

2050年の世界予測が発端だった。

日本の人口は8000万人に減少し、食料自給率は19%まで落ちる(平成29年度は38%)。

インドとアフリカで人口が爆発し、中国では内陸部まで食物が行き届くようになっている。

日本は、60歳以上が45%、若者などの未就労者が30%を占め、25%が75%を食べさせなければならない事態に陥っている。

「そのときに、日本の子どもが飢えへんためには、どないすんや、と。

まず、一次産品を世界に売っていかなあかん。

日本料理を世界の料理にしなければあかん」。

そのための方法を多角的に考え、行動してきたのである。

 

 

▲日本料理アカデミー発行の「日本料理大全」シリーズ。

料理の手法だけでなく、根底にある考え方や根拠、科学的理由についても解説。

「日本料理を伝え広めたい」という視点が生んだ、これまでにない料理教本である。

 

右往左往しても、必ず正しい方向に向かっていく

 

その村田をもってしても「食を文化の枠の中に入れることは大変でした」。

食文化という言葉はあるが、現代の日本は、食を文化とは定義してこなかった。

01年に制定された文化芸術基本法第12条では、「国は生活文化や娯楽、出版活動への支援と施策を講ずる」と定めているが、ここで生活文化として記載されたのは、茶道、華道、書道、そのほか。

「明治政府が食い物をごちゃごちゃ言うのはあかん、食は文化じゃないと言うたのが始まり。食文化を重視する諸外国とは違うんです」。

17年の改訂でようやく書道に次いで食文化が明記された。

 

昭和30年代半ばに、日本は脂質、糖質、タンパク質の摂取量が正三角形となる、世界で唯一バランスのとれた食文化の国と注目された。

しかし「その後の20年間で、肉の消費を5倍にし、米の消費を半分にした。自分たちの基本的な食べ物をひっくり返した民族は、世界に類を見ません」と警鐘を鳴らす。

だからこそ、食が文化であることを法の下に記さなければならないと考えた。

 

目下、後人の育成に力を注いでいる。

公のために働くこと、自国を愛する子どもを育てること、自分らの国や文化を考えることが重要と説く。

混迷の平成から令和となり「行き着いて、振り子が戻る瞬間となるかも」。

稲森より、種の保存と存続のために働く自然の法則に従い行動すれば、思わぬ力が働くことを学んだ。

「ひとりの力でも、一見、不可能に思えるようなことができるのです。

ものごとは右往左往しても、必ず正しい方向に向かっていくから」。

伝え動くことが、未来への一歩と考えている。

(文/石黒知子 写真/百々 新)

 

 

村田吉弘(むらた・よしひろ)菊の井代表取締役。

1951年京都市生まれ。22代続いた茶坊主の家系で、3代前から料理店を営む。

立命館大学時代は、ゴルフや日本民主青年同盟に熱中し、フランス料理を目指したことも。

文化と経済・政治がつながる京都の中心的存在。

 

本記事はデザイン誌「AXIS」200号「Japan & Design 世界に映る『日本のデザイン』の今」(2019年8月号)からの転載です。

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帆立貝のフレッシュマリネ サフランとレモンの香り 清水 忠明シェフのレシピ

2019-07-28 | 昆布

レシピ

 

帆立貝のフレッシュマリネ サフランとレモンの香り

コツ・ポイント

コツ・ポイント

・ビネガーに火を入れる際、玉ねぎと人参のシャリっとした食感を残します。
・熱したオリーブオイルにビネガーを注ぐことで、コクと深み・まろやかさを出し、程よい酸味に仕上がります。

4人前/調理時間:約15分
材料・調味料分量下準備
帆立貝柱(刺身用)   8ヶ  塩・コショウし、余分な水分をとる 
レモン   1ヶ  薄い輪切り。種はとっておく 
玉ねぎ   1ヶ  薄くスライスする 
人参   1本  若干太めの千切りにする 
 マリネ液  
にんにく   2片  スライスする 
サフラン   ひとつまみ   
オリーブオイル   180cc   
シャンパンビネガー   50cc    
 ベビーリーフサラダ  
ベリーリーフ   適量   
シトロンオリーブドレッシング   少々  レモン汁とオリーブオイルを混ぜて作る 
タップナードソース ※好みで   少々  ブラックオリーブ・にんにく・アンチョビ 
塩・こしょう   少々   
シブレット or セルフィーユ   4枚   

作り方

  1.  

    鍋にオリーブオイルを熱して、その中ににんにくとサフランを加え香りを移し火を入れる。 ※にんにくは絶対にこがさないように。

  2.  

    玉ねぎ、次にキャロットを加え炒める。シャリ感を残した状態でビネガーを注ぐ。沸いたら塩・こしょう。バットに移し、熱いうちにレモンスライスをのせ、冷ましておく。

  3.  

    帆立貝を強火で、オリーブオイルで両面、表面だけを軽く焼く。1個を半分にスライスする。

  4.  

    ベビーリーフにシトロンオリーブオイルドレッシングを合えておく。

  5.  

    皿に帆立を並べ野菜をのせ、ベビーリーフサラダをのせ、マリネしたレモンを飾る。

  6.  

    タップナードソース(材料をフードプロセッサー等にかけたもの)を周りにあしらい、セルフィーユで飾る。

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