4年ぶりの写真展の会場に「太宰府だより」という投稿誌がおいてあった。庶民が綴る普段着の文集と銘打った無料の投稿誌。Fさんという74歳の男性の投稿。毎朝目が覚めると「ああ今日も生かされていた」と妻に話しかけ「よかったね」と返事があり、1日が始まりその繰り返しだという。そのFさん、54歳の頃は趣味の居合道が5段で居合いで汗を流すことがストレス続きの日常の唯一の心の充電装置だったらしい。その稽古のあと、風呂からあがろうとして腰に激痛。翌日病院へ、脊椎間狭窄症。ブロック注射で当座の処置。結局手術。腰椎の4番目と5番目がチタン合金でつながれ、その後も次から次へと悪化、脊椎がチタンだらけ。友からサイボーグなどと言われたりしながら10数回手術台にのぼり、73歳の時には心臓病にもなり、その時の生体検査で国指定の難病、「全身性心アミロイドーシス」という肝臓疾患が判明。肝臓から全身の臓器に悪影響を及ぼす物質が出るという難病らしい。
釈迦が人生は苦なりと言ったとはいえなんという悲運な人だと思ってしまうね。このFさんがベッドに寝ていてふと思い出したのが56歳でなくなったアップル創業者、スティーブ・ジョブズの最後の言葉。他の人から見れば成功の典型的モデルかもしれないが仕事を除くと喜びが少ない人生だったという。巨万の富や名声は死を目前にしてなんの意味もなさない。金で何でも買えるかもしれないが病気の身代わりになってくれる人は買えない。私が持っていけるのは愛情にあふれた思い出だけだ。人生はやり直しがきかない。まだ読み終えていない本が1冊あったことにきずく。「健康な生活を送る本」。最低限の富が得られたら富とは無関係の芸術や人間関係や家族や、そんないい思い出を作るべきだったね・・・とジョブズさんが言ったと書かれていた。
仏教の教えは諸行無常、諸法無我。諸行無常とは悲喜こもごも、栄枯盛衰、同じ状態がずっと続くことはない。諸法無我とはテレビの映像などはすべて幻の世界,空である。目の前の食べ物でも好きな人にはおいしく感じるが嫌いな人には空。1000万円のレクサス、買って乗り始めればすぐ当たり前、あきてくる。周りの人に自分は金持ちであると見せつけたいのか。すべて空。あらゆる苦の根源は欲望、煩悩。まあ現役時代の人間にこんなことを言ってもわからないのだろうが。ジョブズさんははどういう動機で創業したのだろうか?
フェイスブックに写真展の案内をしたらお会いしたことのないWさんから近くに住んでいるので写真展にお邪魔したという投稿。Wさんは私の限定公開のFBの友達25人のうちのお一人。普段、ほのぼとしたタッチの水彩画などをメインに投稿しておられる。時間をきめて会場でお会いした。悠々自適のやさしいシニアを創造していたが、かくしゃくとしてエネルギッシュな素晴らしい方でした。奥様が京都の人のようで私も大阪生まれ、大学もともに京都だったりして意気投合、最近、再取得されたというアマチュア無線局の交信書証ハガキを名刺代わりに頂き、話題沸騰、1時間ばかり楽しく歓談させていただいた。お若い頃からカラー写真の自宅現像などしておられ、撮影機材やレンズへの知識はまさに玄人。
たまたま今回、写真展にわたしの蔵出し写真、動物園のゴリラや由布川峡j谷の写真をFBでご覧いただき興味をもたれ、会場でお目にかかることになったのだと思う。60歳から始められたという水彩画のスキルアップのプロセスなど興味深いお話でした。展示作品へのコメントも一味違っていましたね。
やはりSNS上の友達と言うだけではだめですね。フェイスツーフェイスで対面しないとその方のすばらしさはわかりません。貴重な1時間を過ごすことができました・・・