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狂気じみた猛暑も過ぎ去り、朝晩しのぎやすくなり、熱燗がおいしい季節になった。天神に出た時、夕刻、ビジネスマンがまだ仕事をしている時刻に蕎麦屋にはいり、出し巻き、野沢菜でかん酒2合を、池波正太郎の鬼平犯科帳など読みながら楽しむ。アクロス福岡の地下に「そじ坊」という蕎麦屋さんがあり、大阪勤務時代も新大阪のその店をよく利用した。接客がきびきびしていて、中国人の女性スタッフも日本人以上のきめ細かい対応で気持ちがよかった。出し巻きがなかなかのものでわさびと大根おろしをのっけて食す。野沢菜も新鮮でなかなかうまい。
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私が蕎麦屋に通い始めたのは、池波正太郎、藤沢周平、佐伯泰英などの時代小説にはまりはじめてからで、文中に蕎麦屋の場面がしばしばでてくる。ソバが出てくるまで酒をちびちびやりながら、見張りをしたり、同僚と話し込んだりする。この3人の文庫本が7~80冊書棚にならんでいる。主人公は酒をこよなく愛し、人情味があり、しかも腕が立つ。私好みの人物像だ。
蕎麦の粋な食べ方というのがある
まず海苔を避け、そばだけ数本口に含み蕎麦そのものの味や硬さ、喉越しを確認。つぎにつゆを徳利から半分ほど猪口にそそぎ舐めるがごとく口にして味の濃淡をチェック。
そして蕎麦を口に含み2~3回かみしめてそこに汁をすこしすすってのみ蕎麦だけの味からまったく別のふくよかな味覚が口中にひろがる(はず)。汁との相性が大事。
そばを少なめに箸でとり、汁が濃いときは少しつけ、薄い場合はたっぷりつけて、音をたてて一気にすする。3~4回噛んでるうちにすすったっ時の空気が鼻からでてくる。この時こそが蕎麦の風味がわかる一瞬である。
片手にそば猪口をもち、蕎麦をすこしつまんで汁にちょこっと付け一気にすすりこむ工程を一定のリズムを感じさせながら食べると周りの人も気分良くなる。テーブルに顔をつけた犬食いだけはご法度。
最後に残った汁に蕎麦湯を足して最後の一滴まで飲み干す。これがそば職人への礼儀でもあるらしい。
今頃、ビジネスマン諸氏は仕事でくたびれているんだろうなと思いながら熱燗を飲む。至福の時である。
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