そのままVon

おもに31文字の語呂合わせ日記

万葉集#16.3811-16.3813

2013年04月11日 |  / 万葉集

4/11

「ある娘通わぬ夫を待ち望み病の床で恨み節かな(娘子が夫の君を恋ふる歌一首、また、短歌)」

「美しいあなたの言葉と玉梓の手紙の使い来ぬは寂しい()」
「気病で吾アが身ひとつはちはやぶる神のせいとはいえないけれど()」
「占い師座らせ亀甲焼かないで恋でボロボロわたしのこの身()」
「つらい恋身に染みとほり肝にくる心砕けて死ぬ思いする()」
「命つき死にそうになるこの際に今更ながら呼び戻すのか()」
「たらちねの母は辻々夕占してあなたの帰り祈っていたり()」
「神頼み母は祈れる夕占ユフケにも占い問える死を待つ吾を()」

「さ丹づらふ 君が御言と 玉づさの 使も来ねば 思ひ病む 吾アが身ひとつそ ちはやぶる 神にもな負ほせ 卜部ウラベ座マせ 亀もな焼きそ 恋コホしくに 痛き吾アが身そ いちしろく 身に染みとほり むら肝の 心砕けて 死なむ命 にはかになりぬ 今更に 君か吾アを呼ぶ たらちねの 母の御言か 百モモ足らず 八十ヤソの衢チマタに 夕占ユフケにも 卜ウラにもそ問ふ 死ぬべき吾アがゆゑ(#16.3811)」

「卜部をも八十の衢も占問へど君を相見むたどき知らずも(反し歌 #16.3812)」
「占って八十衢ヤソチマタにて尋ねても君に逢いたい手段わからず()」

「吾アが命は惜しくもあらずさ丹づらふ君によりてそ長く欲りせし(或ル本ノ反シ歌ニ曰ク、#16.3813 )」
「わが命惜しくはないが美しいあなたによってと長くと欲せし(この歌を詠んですぐ死んだ〓)」

「辞世歌で車持なる娘なりほんまかいなよ恋に死ぬとは
(右伝云けらく、時ムカシ娘子有り 姓ハ車持氏ナリ。其の夫セ年を逕ヘて徃来カヨはず。時に娘子、息の緒に恋ひつつ、痾疾ヤマヒに沈臥コヤれりき。日に異ケに痩羸ミツれて、忽ち臨泉路ミマカりなむとす。ここに使を遣はして、其の夫の君を喚ぶ。来て乃ち歔欷ナゲきつつ斯の歌を口号ヨみて、登時スナワチ逝没ミマカりき)」

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お聖さんはすごい

2013年04月11日 | 字余り

4/11

田辺聖子さんはやっぱりすごい。いま『エッセイベストセレクション1』をパラパラと開く。酒井順子さんが巻末で解説を担当しているが、親から田辺聖子さんみたいな物書きになってほしいと言われたらしく、本人は極上の下ネタを書くように揶揄されたのだと解釈して、泉下の父君に決意を表明している。酒井さんには『Remix枕草子』があるように、また下ネタが得意であるようなので、いわば現代版お聖さんになりたいのかとも思うが大阪弁が母語のお聖さんにはなれない。しかし、母語は違えどその存在には心酔しているのである。タイトルといい、話の展開といい、語り口といい、相方のカモカのおっちゃんといい、極上の芸術品なのである。
何でこんな発想ができるのかとか、こんなスケベなことをさらりと言えるのかとか、中身についても考えさせられる。冒頭の一編に『女のムスビ目』というのがある。この中で男には生きている間に2、3のムスビ目があるが、女にはないという。そこで男のムスビ目について、自分自身を振り返るのである。また、2編目には『いらう女』が出てくる。これも『いらう男』というタイトルでどんな男でもすなるヘンズリというものを書きたいのだが、ちょっと羞恥をともない、露骨な内容になってしまい、お聖さんのように格調は出せないように思う。こんな風に色々と触発をされる内容であることは太鼓判を押せる。このエッセイのベストセレクションはその2も刊行され哲学者の土屋賢二さんが解説を書いておられる。

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