「形容詞とは自立語で活用し述語になって『し』で言い切れる
(口語『赤い』
,文語『赤し』)」
「形容詞活用するに二つありク活用とシク活用と()」
「その他に助動詞の『ず』につなぐとき『カリ活用』があると言う()」
「『し』と『しく』の区別は『なる』をつけたときその形にて自然に判る(赤くなる、楽しくなる)」
「浴衣着て少女の乳房高からず(高浜虚子/未然形:助動詞『ず』に接続しているので未然形、『カリ活用』となる)」
「梅雨の夜の林の上の空赤く(山西雅子/連用形:意味の上では赤くの後の動詞が省略されている形)」
「帆を上げしヨット逡巡なかりけり(西村和子/連用形:助動詞『けり』の上には連用形がくる。)」
「末枯ウラカレのゆきわたりたる園広し(牧野春駒/終止形:『広し』と言い切っているので終止形)」
「春逝くや高きところに亀ねむり(桂信子/連体形:『高き-ところ』と名詞に接続しているので連体形)」
「うららかに国広ければ海広し(鷹羽狩行/已然形:助詞『』に接続しているので已然形。已に然りだから、広くなっているという意味。)」
「急ぐなかれ月谷タニグクに冴えはじむ(赤尾兜子/命令形:『なかれ』は『なし』の命令形。タニグクとは蟇ヒキガエルのこと。月に言っているが、自分に言い聞かせている。)」
「下二段『ウ段』『エ段』の二段にて活用をする動詞であれる
(カ行の『受く』
:受け-受け-受く-受くる-受くれ-受けよ
,タ行の『捨つ』
:捨て-捨て-捨つ-捨つる-捨つれ-捨てよ
,ヤ行の『聞こゆ』
:聞こえ-聞こえ-聞こゆ-聞こゆる-聞こゆれ-聞こえよ
)」
「枸杞クコの実のさびしさも夜を越えざりき(加藤楸邨 /未然形)」
「子の臀シリを掌に受け沈む冬至の湯 (田川飛旅子/連用形)」
「鳥雲に湾岸道路運河越ゆ (上島顕司 /終止形)」
「歳高き父より受くる屠蘇の盃 (福田蓼汀 /連体形)」
「灼熱の鬼こそ出づれ豆打てり (辻桃子 /已然形)」
「春満月ざしきわらしも外に出でよ (菖蒲あや /命令形)」
「要注意!『ア・ヤ・ワ』行の活用は誤り多く失敗するな
(ア行下二段活用
=エ-エ-ウ-ウル-ウレ-エヨ
/ヤ行下二段活用
=エ-エ-ユ-ユル-ユレ-エヨ
/ワ行下二段活用
=ヱ-ヱ-ウ-ウル-ウレ-ヱヨ
)」
「下二段活用をする動詞にはア行ワ行で合計五つ
(ア行:得ウ,心得ココロウ=得エ-得エ-得ウ-得ウる-得ウれ-得エよ
/ワ行:植う,飢う,据う=植ゑ-植ゑ-植う-植うる-植うれ-植ゑよ
)」
「腰据ゑん野分の去りし石ひとつ (村越化石 /未然形)」
「田を植ゑて空も近江の水ぐもり (森澄雄 /連用形)」
「馬鈴薯を植う汝が生れし日の如く (石田波郷 /終止形)」
「竹植える安房に雨脚はやき刻 (大屋達治 /連体形)」
「いづくにも虹のかけらを拾ひ得ず (山口誓子 /未然形)」
「枯蓮をめぐり一生を経しごとし (鷹羽狩行 /連用形)」
「稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ (中村汀女 /終止形)」
「もの書きて日を経るほどに葉山吹 (松本たかし/連体形)」
「春の夜や寝れば恋しき観世音 (川端茅舎 /已然形)」
「其銀でケゴロモなと得よ和製ユダ (中村草田男/命令形)」
2016/03/10
「雪に耐え風雨をしのぎ薮中のシュンラン今年の花を咲かせる(鳥海明子)」
「野草にて蘭の派手さはないけれど狐の口の辺りに似ると
(花言葉:飾らない心)」
「啓蟄の次候はじめは桃笑う蕾ほころび花咲きはじむ(『桃始めて笑う』)」
「『咲く』という字の語源とは『笑う』なり人が笑うは咲くと同じと()」