2016/03/22
「放送の記念日と今朝聞きしよりバイモ一本柱に掛ける(鳥海明子)」
「バイモとは『貝の母』とは書きたるも釣り鐘草のような花なり
(花言葉:才能)」
「別名を編笠百合と言いたると弱々しくも可憐な花を()」
「出世魚サゴシ・ヤナギにサワラといふ秋春彼岸二度味わえり
(『彼岸鰆』)」
「鰆とは高級魚にて昔から冠婚葬祭よく使われり()」
2016/03/22
【6.焦点をしぼる】
「紅梅や少年の日の道のまま()」
「『道のまま』どんな道かはわからない坂とか土とか具体を示せ()」
「紅梅や少年の日の土の道()」
「引き潮の波にたゆとふ花一輪()」
「俳句では花は桜を指すゆえに何の花かを言わねばならぬ()」
「引き潮の波にたゆとふ落椿()」
「大寒やまだまだ剃らぬ無精ひげ()」
「『まだまだ』の意味がわからず剃らぬのは暖かいなら意志を言うべき()」
「大寒や剃らぬつもりの無精ひげ()」
「襟足の美しき人かたまりて菖蒲園()」
「字余りが中七にあり暑苦し『かたまりて』とりすっきりさせよ()」
「襟足の美しきひと菖蒲園()」
「水草生ひ水の流れのありにけり()」
「焦点を『水草』にあて『流れ』には当ててはならじ少し写生を()」
「水草生ひ水の流れにしたがへり()」
「雪吊りの芯なる縄を解き放つ()」
「『雪吊りの芯なる縄』がわからない『すべての縄』とすればシンプル()」
「雪吊りのすべての縄を解き放つ()」
「登る顔くだる来し顔除夜詣()」
「『くだる来し』連用形は誤りも対句で『くだる顔』にするべし()」
「磴のぼる顔くだる顔除夜詣()」
「濯ぎもの獲りこむときも笹子来て()」
「『笹子来る』むしろ逃げるが合いにけり労り込めて『飛び立ちしあと』()」
「濯ぎもの取りこむ笹子去りしあと()」
「太陽の色をわけあひ牡丹咲く()」
「俳句では花は咲けるを詠むもので『ボタン咲く』は他の言葉で()」
「太陽の色をわけあひ牡丹園()」
2016/03/22
5【表現を調える】
「あの家もここも留守なり柿の秋()」
「『あの家』と『ここも』は格が合わざりし『この家』入れて整えるべし()」
「あの家もこの家も留守柿の秋()」
「一枚に見ゆる百枚青田風()」
「『見ゆる』とはわざわざ言わずもわかるなり百が一塊と言えばよろしい()」
「百枚を一枚として青田風()」
「風鈴屋踏切越える賑やかさ()」
「感動が尻すぼみにて平らなり()『賑やかに越ゆ』そのさまを詠め」
「踏切を賑やかに越え風鈴屋()」
「一夜ごと折鶴ふやす卒業期()」
「『一夜ごと』グラフにつけし折鶴はちょっと無粋で曖昧にせよ()」
「折鶴を夜々にふやして卒業期()」
「渡せないままの文もち卒業す()」
「『文もち』は現実としておかしけり文ポケットに卒業せしか()」
「渡せざるままの文あり卒業期()」
「あと一本あと一本とて庭花火()」
「『とて』のとこ『と言って』の意味なるが用法違い字余りであり()」
「あと一本あと一本と庭花火()」
「朝桜瀑布のごとく枝垂れけり()」
「『瀧ざくら』見事に枝垂れ感心も散文的で一工夫欲しい()」
「懸瀑のごとくしだれ朝桜()」
「かたくなに黒押し通す冬帽子()」
「『かたくな』と『押し通す』とがきつすぎる少し柔い表現にする()」
「かたくなに黒を通して冬帽子()」
「橋下に宿借る一夜流し雛()」
「主語不明『宿借る』じゃなく『宿る』なら雛とわかれり紛れはなくて()」
「橋下に宿る一夜の流し雛()」
2016/03/22
【4.的確なことば選び】
「立ちそびれ夜長のきゃくとなりゐたり()」
「『立つ』というトイレに行くため立ったかもはっきり『辞する』と言うべきところ)」
「立ちそびれ夜長のきゃくとなりゐたり()」
「帰宅まで励まし通す七五三()」
「『帰宅』とか『励まし通す』は疑問なり『家に帰る』や『通す』は削除()」
「家につくまで励まして七五三()」
「渦潮を越えきし色か桜鯛()」
「『越えきし』が飛んできたかと誤解せり『もまれし』とすりゃドンピシャなりし()」
「渦潮にもまれし色か桜鯛()」
「蛍とぶことも書き添へ返事出す()」
「上・中の優雅な調べ台無しに下五直して優雅にしよう()」
「蛍とぶことも書き添へ返し文()」
「お見合いの席に頃よく遠花火()」
「花火鳴り何で『頃よく』かわからない予定通りに『折から』とせよ()」
「お見合いの席に頃よく遠花火()」
「通夜の間に鶴守一人おくれ来し()」
「『間』のところ場所か席かが不明瞭『座』としたならばイメージ浮かぶ()」
「通夜の間に鶴守一人おくれ来し()」
「背に羽の天使と為りて聖夜劇()」
「上・中が揺るみて気持ちが現れず『羽つける』こと全面に出せ()」
「羽つけてすなわち天使聖夜劇()」
「よき汗を貰いあとのよき疲れ()」
「『汗貰う』こんな表現なかりせば『汗を流す』に変えるべきかな()」
「よき汗を流せしあとのよき疲れ()」
「肩寄せてあぢさゐ日毎に色めきぬ()」
「あぢさいに『肩』があるとは思えないひしめくさまは『毬寄せる』かな()」
「毬寄せてあぢさゐ日々に色づきぬ()」
2016/03/21
【3.何を伝えたいか】
「紅梅の日暮れて闇に香を放ち()」
「日暮れれば『闇』は当然『放ち』では弱すぎるので言いきることだ()」
「紅梅の日の暮れてより香を放つ()」
「誰のとは言はぬ楽しみ毛糸編む()」
「『楽しい』ということ直接言わないで編む景色だけ淡々と詠め()」
「誰のとは言はずに夜も毛糸編み()」
「余りにも美男吉宗菊人形()」
「『余りにも』少し誉めすぎ削除して言葉の順序添削をせよ()」
「吉宗の美男に過ぎて菊人形()」
「藤房のもつるる風に雨近し()」
「風が出て雨が近いという句だが房との関係疑問でありし()」
「雨近し風にもつるる房の藤()」
「木枯の中を使ひの子が戻り()」
「平坦で散文的な表現を『たった今』感表現をせよ()」
「木枯の中より戻り使ひの子()」「木枯の中より戻る使ひの子()」
「約束の一人を欠いて秋の暮()」「『人を欠く』欠席のことわかりにくはっきりと言えまた来ていないこと()」
「約束の一人まだ来ず秋の暮()」
「初夢の中に忘れし恋の文()」
「『恋の文』手紙か文かわからないはっきりといえラブレターだと()」
「初夢の中に恋文忘れ来し()」
「鎌の柄のかぎりを沈め若布刈()」
「『かぎりを沈め』わかりにく『柄の長さ』だとはっきりと言え()」
「鎌の柄の長きを沈め若布刈()」
「入院の決まりし母と団扇風()」
「団扇での風受けるのは母だけにしたほうがよし助詞を見直せ()」
「入院の決まりし母へ団扇風()」