「『蹴る』のみの下一段の活用はケ-ケ-ケル-ケレ-ケレ-ケヨといふ()」
「赤んぼに膝蹴られをり藤の昼 (山本洋子/未然形
、未然形と連用形は同じ活用、例は受身の助動詞『られ』がついているが
、この助動詞は未然形にくっつく)」
「墓参の子ひつきりなしにものを蹴る (岸本尚毅/終止形、終止・連体形は同型)」
「よろこんで名月を蹴る赤子かな (仙田洋子/連用形)」
「覚えるに上一段は数多し覚えるために語呂合わせせよ
(『贔屓に見入る』か『君に好い日』で覚える)」
「ミ-ミ-ミル-ミル-ミレ-ミヨと上一段の活用は語幹と語尾の区別はなしと
(贔屓に見入る&君にいい日
=ヒ:干る・はなひる
,イ:射る・鋳る
,キ:着る
,ニ:似る・煮る
,ミ:見る・試みる・かへりみる
,ヰ:居る・率る・率ゐる・用ゐる)」
「文月や六日も常の夜には似ず (芭蕉 /未然形)」
「くわゐ煮てくるるといふに煮てくれず(小澤實 /連用形)」
「晩菊や母を離れて母を見る (大木あまら/終止形)」
「白玉や虚子に似る字も偽手紙 (筑紫盤井 /連体形)」
「丹前を着れば丹田しづかなり (長浜勤 /已然形)」
「乱心のごとき真夏の蝶を見よ (阿波野青畝/命令形)」
「子供居りしばらく行けば懸巣居り (中村草田男/ラ行変格の終止形)」
「煮て干して吊して冬の支度かな (岩田由美 /サ行四段活用の連用形)」
「覚えるにラ行変格動詞には『あり』『をり』『はべり』『いまそがり』あり
(ら-り-り-る-れ-れ)」
「俳句ではよく使うのは『あり』と『をり』『いまそがり』など出ることはなし
(『いまそがり』は『あり』の尊敬語)」
「薪能観世に嫁せし人侍り (山田弘子 )」
「妻二夜あらず二夜の天の川 (中村草田男/未然形)」
「妻抱かな春昼の砂利踏みて帰る(中村草田男 )」
「虹に謝す妻よりほかに女知らず(中村草田男 )」
「春燈にひとりの奈落ありて坐す(野澤節子 /連用形)」
「桃青し赤きところの少しあり (高野素十 /終止形)」
「七草のまだ人中にある思ひ (田中裕明 /連体形)」
「花あれば西行の日と思ふべし (角川源義 /已然形)」
「いつまでも種であれよと種袋 (池田澄子 /命令形)」
「覚えるにカ行変格動詞にはただ『来る』一つ簡単なりし
(こ-き-く-くる-くれ-こ・こよ)」
「賀状うずたかしかのひとよりは来ず (桂信子 /未然形)」
「夏草に汽罐車の車輪来て止まる (山口誓子 /連用形)」
「初蝶来何色と問ふ黄と答ふ (高浜虚子 /終止形
で『く』と読む。切れているが名人ゆえの名句?)」
「虹の中を人歩きくる青田かな (松本たかし/連体形)」
「手の薔薇に蜂来れば我王の如し (中村草田男/已然形)」
「光年は涼しき距離ぞ生まれ来よ (辻美奈子 /命令形)」
「覚えるにサ行変格動詞には『す』『おはす』二つ簡単なりし
(せ-し-す-する-すれ-せよ)」
「百日紅この叔父死せば来ぬ家か (大野林火/未然形)」
「僧死してのこりたるもの一炉かな(高野素十/連用形)」
「雪渓に山鳥花の如く死す (野見山朱鳥/終止形)」
「長き夜や孔明死する三國志 (正岡子規/連体形)」