子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

The Music「Strength In Numbers 」:夏フェスに縁遠い私には…

2008年06月26日 23時03分43秒 | 音楽(新作レヴュー)
The Musicの日本版公式ホームページ(ユニバーサル)に入ると,アルバムの最初に収録されリード・シングルとなった「Strength In Numbers」のプロモーション・ヴィデオをYou Tubeで観ることが出来る。
ついこの間まで,自前のプロモをYou Tubeに投稿することに異議を唱えていたはずのレコード会社が,変わり身も素早く,宣伝のためにYou Tubeを使い倒しているという現実に直面して呆気に取られていると,映画「クローバーフィールド」のパロディ仕立てで作られたヴィデオが始まる。印象に残るのは特撮よりも,倉庫のような所で演奏しているメンバーの「若さ」の方だ。

しかし音の方は決して「若さ」に引きずられて暴走することはなく,ロックの様式を踏まえた,ある意味伝統的とも言える盛り上がりを,指向しているように聞こえる。
今回のアルバムでは,レッド・ツェッペリンに代表される,ブリティッシュロックの「特定のジャンル」における幾つかの約束事,例えば伸びのある高音が印象的なリード・ヴォーカル,メリハリの利いた,しかし複雑にはならないビート,そして覚えやすく叫びやすい決めのメロディといったものを,ダンスフロアに違和感なく移植することに成功している。
特に,どの曲においてもちょっとメランコリックな風味が印象的なリフには,今の若者だけに留まらず,かつてロバート・プラントに絶叫した「いにしえ」のロックファンをも惹きつける可能性を感じさせる。今年もフジロックに出演するようだが,ばっちり決まったサビのフレーズは,夏フェスにこそ相応しいのかもしれない。

ただ,同時期に新作を発表したコールドプレイに比べると,リズムの変化や曲のヴァラエティに物足りなさを覚えるのも事実だ。
タワーレコードのPOPには「今回のThe Musicは!!!(チック・チック・チック)のようだ」とあったが,「!!!」のビートはもう少し艶めかしく,時に破天荒だ。
若さがもう少し前面に出て,「決める気持ちよさ」をビートの快感が上回るようになれば,The BandやThe Beatのように,臆面なく名付けたバンド名に負けない業績を残した先輩の末席に並ぶことは,決して不可能ではないと思うのだが,どうだろうか。
★★★1/2


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