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No Music No Life

イーグルス「ザ・スタジオ・アルバムズ・1972-1979」

2016年02月14日 | 音楽
前から気になっていたイーグルスの6枚組格安ボックスセット、皮肉にもグレン・フライの訃報に背中を押される形で購入した。
中学生の頃、僕はイーグルスが大好きだったのだけど、その後ハードロックやヘビメタ、プログレなど刺激の強い音楽ばかり
聴くようになると、この手の普通のロックが物足りなくなった。
また、どういうわけかカントリー風の音楽を敬遠するようになり、イーグルスからも興味が離れていったのだ。
2004年の来日公演のときは、僕も再びイーグルスを聴くきっかけになり、2枚組のベストアルバムを買ったのだけど、
結局好きな曲だけ飛ばして聴いてただけで、アルバムを通しで聴くことは少なかった。
ただし、ライブは素晴らしかった。

最近になってあまりムリして音楽を詰め込むようなことをしなくなり、ようやく素直な気持ちでロックに接することが出来るように
なってきたと思う。
というわけで、イーグルス5枚組を順に追ってみよう。

「イーグルス・ファースト」



1曲目「テイク・イット・イージー」から初期イーグルス得意のカントリーロックで幕をあける。
おそらくメンバー全員カントリー音楽が好きで、そういう素直な気持ちが音によく現れていると思う。
中でもバーニー・レドンのギターとバンジョーがいい味を出していて、楽器演奏のみならず歌もうたっている。
この頃はまだメンバー4人が均等に貢献しており、非常に民主的なバンドだ。
僕はこのファーストアルバムを聴くのは今回が初めてなんだけど、こんなにいいとは思わなかった。
リラックスして聴ける、カントリーロックの名盤だと思う。





「ならず者」



このアルバムは友人がLPを持ってたので、カセットに録音してよく聴いた。
基本的に前作の延長線上にあるサウンドだけど、こちらのほうが暗い感じで、いちおうコンセプトアルバムってことになってる。
西部劇みたいなジャケ写で、アルバムコンセプトになってる「ドゥーリン・ドルトン・ギャングの繁栄と終焉」のテーマを表している。
WIKIによると実在のギャング団のようで、裏ジャケでは射殺されたギャング団に扮するメンバーが横たわっている。
(なぜか横たわってるなかにジャクソン・ブラウンとJDサウザーも混ざってる)
僕は前から「ならず者」より「ドゥーリン・ドルトン」のほうがずっと名曲だと思ってるんだけど、そう思わない?





「オン・ザ・ボーダー」



ここからドン・フェルダーがリードギタリストとして加入する。
アルバム全体のまとまりがよく捨て曲なし、いい曲ばかり、僕の中ではイーグルスの最高傑作。
前作よりロック色が強くなったものの、カントリーな雰囲気もまだまだ残っていて、正常進化を遂げている。
アルバムジャケもいい。
モニュメントバレーみたいなところでワシ(イーグル)が飛んでいるという西部劇チックなもの。
このアルバムの中でちょっとだけ異彩を放っているのが、表題曲「オン・ザ・ボーダー」で、後期イーグルスにつながる付箋に
なってる。





「呪われた夜」



僕は完全に後追いなのでどうも思わないけど、リアルで聴いてた人にとっては1曲目のインパクトは強かっただろう。
暗い雰囲気のジャケ写を見てから、このイントロが始まると、今までのイーグルスとの違いに驚くと思う。
僕はこの「呪われた夜」という曲、すごい名曲だと思う。
どうしても「ホテル・カリフォルニア」の影に隠れちゃうイーグルスだけど、それがなかったらたぶん一番の名曲だろう。
そしてもう1曲外せない名曲、ランディー・マイズナーの「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」だ。
彼の立ち位置というのは、ビートルズでいえばジョージ・ハリスン的なポジションだと思うけど、同じように隠れた名曲が多い。
さらにジョージと同じく、隠れていない堂々たる名曲もあり、それがこの「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」だ。
ランディーらしく、そして何よりイーグルスらしい曲だ。
ついでに、ドン・フェルダーの「ビジョンズ」もいい。マニア向けだけど。

この「呪われた夜」のライブ映像、すごくいいので是非見てね。
演奏の上手さ(とくにリードギターのドン・フェルダー)とコーラスの上手さ(とくにハイトーンのランディー・マイズナー)は素晴らしい







「ホテル・カリフォルニア」



ついに来ましたね。
はい、誰でも知ってる超名曲で、これがあまりに有名すぎて「イーグルスってホテカリだけの一発屋だね」とかいうトンチンカンな
ことを言うヤツまで出てくる始末だ。
前作で初期のカントリー色を牽引していたバーニーが脱退し、変人ジョー・ウォルシュが加入する。
僕としては、ちょっとドン・ヘンリー色が強すぎるのと、全体的に暗すぎるアルバムだと思う。
唯一ランディー・マイズナーの「トライ・アンド・ラブ・アゲイン」だけ従来のイーグルスらしい曲だ。
そのランディーもこのアルバムを最後に脱退してしまう。





「ザ・ロング・ラン」



AC/DCの「バック・イン・ブラック」みたいな黒一色のジャケ。
もう完全にカントリー色がなくなり、冷たい都会の空気が漂うアルバムになっている。
僕はこのアルバム、いい曲とそうでない曲の落差が激しいと思う。
まるで90年代のグランジみたいにダークさが強調され、張り詰めた緊張感は、そのままバンドの人間関係表しているようだ。
新加入のティモシー・B・シュミットだけど、最後にやってきていきなり名曲「言いだせなくて」をほおり込んでる。
この1曲だけでティモシーは存在感を示し、再結成後もちゃっかりベーシストの座に収まっているのは大したもんだと思う。




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