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駄作名盤

2020年03月21日 | 音楽
駄作名盤という微妙な位置づけのアルバムがある。
世間的には駄作とされてるけど、よく聴くとけっこういい曲が多くて、好きな人も多いようなアルバムのことだ。
中には、駄作とされてたアルバムがいつのまにか名盤扱いになってることもある。
その際たるものが、ビートルズのホワイトアルバムだと思う。
僕がビートルズを聴き始めた80年代はじめ頃、ホワイトアルバムは駄作とされていた。
当時は、アルバムを通して一本筋の通ったコンセプトがあるものが良いアルバムという空気があり、その最高傑作がサージェントペパーだった。
そのサージェントペパーと比較して、ホワイトアルバムは一貫性がなく、バラバラの寄せ集めみたいで、ムダに曲が多く、捨て曲みたいなのも入ってるしで、評価は芳しくなかった。
それが今では、あらゆる可能性が詰まってるとか、現代のポピュラーミュージックの全てがここにあるとか言われて、すっかり名盤の座に登り詰めたように思う。

キッスの駄作名盤といえば、僕は「仮面の正体(Unmasked)」だと思う。
「エルダー」や「カーニバル」は問題作であって、駄作名盤とはちょっと違う気がする。
大きな成功を手にし、ライブアルバム、ベストアルバム、それぞれのソロアルバムの後、次にいくべき道を模索してたキッスだが、結局当時の流行りであるディスコやAORの要素を取り入れることにした。
そして「地獄からの脱出(Dynasty)」は大ヒットした。
しかし、同じ路線を突き進んだ「仮面の正体」はセールス的に大失敗とまではいかないものの、成功ではなかったようだ。
そして、売れ線狙いすぎるなどの誹りを受けることになる。
それと、それまでのアルバムには必ずあったピーターボーカル曲がないのも痛い。
というか、実際にはピーターはアルバム制作に一切関わっていないのに、ピーターがいることになってるというのもマイナスだ。
というわけでこのアルバムは、キッスの進むべき道から外れた駄作という位置づけに収まることになった。
しかし、インターネットの時代になると、実は「仮面の正体」好きなんだよという人がたくさん出てくる。
それに、アメリカや日本では不評だったものの、オーストラリア辺りでは大ヒットしてたという事実もわかってくる。
各曲の質は高く、とくにポールとエースの活躍が目覚ましい。
僕の感覚では、前作よりもキッスらしさが戻っているように感じる。
元々キッスはポップなロックンロールが得意だし、過去にはベスやハードラックウーマンみたいな曲もある。
キッスという器内に収まる曲ばかりではないだろうか。
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