11月8日放送のディスカバービートルズは、先週に引き続きアルバム「マジカルミステリーツアー」からで、今回はB面である。
いわゆるサントラ曲であるA面と違い、B面はアルバム発表近辺に発表されたシングル曲が集められている。
サイケなビートルズの絶頂期ということで、どの曲も凝りに凝っていて、今聴いても新たな発見がある。
この番組でストロベリーフィールズフォーエバーが2つのテイクを繋げてあるというのを初めて知った。
元々、前半と後半は別テイクで、しかも曲のスピードもキーも違うのに、とてもうまく繋げてある。
そのためにテープのスピードをいじってあるのだけど、言われてみるとたしかにそんな感じではある。
どうもジョンがエンジニアに、なんとかうまくやれと命じて、苦労の末にやり遂げたとのこと。
そして、ポールだったら最後まで責任を持って、というより他人任せには出来ないから、全部自分でやるみたいなところがあって、決してジョンみたいに投げ出してしまうことはなかったようだ。
アルバムの最後は「愛こそはすべて」。
これ、すごい変拍子であることに今まで気がついていなかった。
それくらい不自然さがなく、すんなり聞けるのに、いざリズムを意識すると一筋縄ではいかない。
この辺はいかにもビートルズマジックで、とくにジョンの曲に多い。
ジョンの新しいベストアルバム「ギミー・サム・トゥルース」が発売された。
今年はジョンが80歳になってるはずの年であり、亡くなって40年となる年ということでの記念ベストだ。
とは言っても、どうせ全部知ってる曲だし、別に聴かなくてもいいか、と思ってたけど、ミノミュージックのジョンの格付け動画を見たら聴きたくなった。
そしたらとても良かった。
ジョンのベストがいい、なんてのは「冬は寒い」くらい当たり前のことだけど、これは想像以上に良かった。
プロデュースはヨーコで、たっぷり36曲、2時間18分である。
選曲はジョンのベストになくてはならない曲と重要なアルバム曲で、基本的に発売順に並んでいる。
面白いのは、最後の2曲だけ時系列を無視して、「ハッピークリスマス」と「平和を我らに」となってること。
この2曲を最後に持ってくることにより、今のアメリカに対するメッセージ性を強めているんだと思う。
そのわりに「イマジン」が目立たないところにこっそり入ってるのは、もう今更イマジンを強調する必要はないということか。
それと、「女は世界の奴隷か」が外されてるのだが、これは当時と違ってようやく女性の地位が向上し、時代が変わったからだと思う。
もう一つ、「カム・トゥゲザー」のライブバージョンが入ってるのだけど、これも歌詞の最後にジョンが「Stop the war」と叫んでるからかな、と思う。
音質はリマスターされていて、とくに重低音が強調されている。
それがとくに顕著に現れているのが、「インスタント・カーマ」や「コールド・ターキー」など初期のロックナンバーで、今まで目立たなかったクラウス・プアマンのベースがはっきり聞き取れる。
それと音の分離がよくなり、とくに今まであまりよくなかったエルトン・ジョンとの「真夜中を突っ走れ」などは見違えるほど良くなったと思う。
その代わり、「スタンド・バイ・ミー」の印象的なアコギのカッティングなんかは少々引っ込んでしまった気がする。
全体的にはジョンのボーカルがよりクリアになり、前面に出てきた。
このリミックスはおそらく若い人に向けてのもので、とても今風だと思う。
イマジンとハッピークリスマスくらいしか知らない人にもお勧め出来るアルバムだ。