Music Mania

No Music No Life

洲崎パラダイス赤信号

2021年08月15日 | 日常
今日は、1956年(昭和31年)の映画「洲崎パラダイス赤信号」について。

同時期の映画「赤線地帯」が思いの外とても良かったので、同系列の映画を探したところたまたま発見した。
こちらは男女関係を中心とした人間ドラマで、ダメ女とダメ男というダメ人間コンビが面白い。

元娼婦のツタエとやる気のない無職のヨシジはお金もなくフラフラと彷徨っている。
こうなったら再び娼婦に戻るしかないと、花街の洲崎パラダイスへ向かうが、手前の居酒屋で「女中募集」の看板を見つける。
ツタエは住み込みで仕事をもらい、おかみさんの紹介でヨシジは近くの蕎麦屋で働き始める。
ツタエは店の常連であるオチアイと良い仲になり、アパートを借りてやるとのことで店を出て行く。
ヨシジは同じ蕎麦屋で働くタマコに惚れられる。
ツタエからすれば、甲斐性のないヨシジより、お金もあり事業も上手くいってるオチアイの方がいいはずである。
またヨシジからしても、浮気性で根無草のようなツタエより、真面目で可愛いタマコの方がいいはずだ。
それなのに、結局二人は元鞘に戻っていく。
居酒屋のおかみさんもおかみさんで、他の女と出て行った夫に愛想をつきながらも、ふと夫が帰ってくると今までのことはなかったように大喜びする。
タマコもタマコで店の金をくすねるようなヨシジをダメ人間と知りながら、世話をせずにはいられない。

ダメな人に惹かれる人というのはいつの時代にもいる。
洲崎パラダイス赤信号はとても古い映画だけど、男女関係というのは今も昔も非常に微妙なところで成り立っているのがわかる。
今ならYouTubeで見れるので興味のある方はどうぞ。
ついでに言うと、この映画のテーマ曲もいい。すごく前衛的というか、不気味というか、こういうのってどういうジャンルになるのだろうか。
映画の重要な場面で流れるんだけど、不思議な魅力がある。


suzaki paradise: red light 1956 eng sub

赤線地帯

2021年08月15日 | 日常
遊郭探訪の動画を見てると、現役当時の様子を知りたくなる。
調べたところ、リアルタイムでの様子が伺える映画ということで、1956年昭和31年の「赤線地帯」という作品があり見てみた。

遊郭モノだけど濡れ場はなく社会問題を提起するもので、現代の作品だと「万引き家族」あたりのニュアンスに近い。
売春防止法が迫るなか、娼婦たちそれぞれの事情による生き様が描かれる。

吉原遊郭の「夢の里」には数人の娼婦が働いている。
主人は売春防止法に反対しており、自分たちこそが貧困に喘ぐ女性を救ってやってるんだと息巻く。
ヨリエは一刻も早くここを出て普通の主婦になりたい夢がある。
ハナエは病気の夫と幼子を養うために住み込みではなく夢の里に通勤している。
ユメコは一人息子を進学させ、いつかまた一緒に住めるよう夢の里の住み込みで働く。
ヤスミは結婚する気もないのに客の男をその気にさせてお金を貢がせている。
ミッキーは本当は金持ちの娘なのに、父親に反発して夢の里にやってくる。
そしてシズコは貧農から売られてきた少女だ。

ヨリエは夢が叶い農家に嫁ぐが、朝から晩まで働かされ、そのくせまともな食事もままならない現実に唖然とする。
結局、朝昼晩の食事が用意され、綺麗な着物を着て、男客相手の仕事以外はしなくていい遊郭に戻ってくるのだった。
ハナエの夫は自分の不甲斐なさから自殺未遂をおこす。
ユメコの息子は、自分の母が娼婦だと知り親子の縁を切る。
息子のために必死で働いてきたユメコは夢を絶たれて発狂してしまう。
ヤスミは自分に大金を貢いだ男をあっさりと捨て去り、殺されそうになる。
ミッキーのところには父親が連れ戻しに来る。
そして、シズコは遊郭で初めててんやものの丼を食べて「こんな美味いもの食べたことがない」と感動する。

この映画では、必要悪としての遊郭が描かれ、女性を救うという名目の売春防止法でありながら、必ずしもそうはならないということを示唆している。
この頃、朝鮮戦争特需の影響で、経済成長が活発な次期ではあるものの、誰もがその恩威を受けられるわけではなく、水面下ではこういう人たちもいたという現実が伺える映画だった。
ついでにテーマ曲はテルミンを使った前衛的な音楽で、今聴いても不気味で斬新である。

Utanç Sokağı - Street of Shame | Akasen Chitai 1956 | Türkçe Altyazılı