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フォードvsフェラーリ

2021年08月22日 | 日常
昨年の映画「フォードVSフェラーリ」を見た。
フォードチームが打倒フェラーリを目指してル・マン24時間レースに挑む物語である。

伝統あるレース、ル・マン24時間レースを制することは、自動車メーカーにとって大きなイメージアップにつながる。
アメリカの巨大企業であるフォード社はこれに目をつけ、新車の販売台数をさらに伸ばすためレースに参戦するのだった。
当時このレースの覇者はイタリアのスポーツカー専門メーカーであるフェラーリだ。
当初、フォード社はフェラーリ社を買収しようとしていた。
フェラーリ社はレース成績はいいものの、大量生産が出来ないため経営難に陥っていたのだ。
しかしエンツォ・フェラーリ社長は、フォード社からレースへの情熱が感じられないため、同じイタリアのフィアット社に身を預けることになる。
買収に失敗したフォード社は、なんとしてもフェラーリに勝つため、プロジェクトを立ち上げるのだった。
しかしフォード社のような巨大企業は、上役と現場の間には高い壁があり、下からの意見は上には通じない。
苦労の末、フォードGT40を完成させてレースに参戦するが、全車途中リタイヤという惨敗な結果に終わる。
プロジェクトの現場責任者は、フォード社長を無理矢理レースカーに乗せ、本気でレースをやる気があるのか、とレースの恐ろしさを体感してもらい、以前よりはずいぶん風通しのよい環境となる。
それでも、メーカーの体裁ばかりを気にする上役の妨害を受けながらも、なんとかル・マンに参戦し、とうとう打倒フェラーリを達成するのだった。

一般的にこの手のストーリーというのは、弱小メーカーが大資本メーカーを負かすものである。
しかしこの映画は逆で、大資本メーカーであるフォード社が弱小メーカーのフェラーリに挑戦するものになっている。
そこには、大企業であるがゆえの社会的イメージや売り上げ促進といった縛りがあり、社内もホワイトカラーとブルーカラーという階級に縛られている。
対してフェラーリ社は小企業ゆえの小回りの良さや、社長からエンジニアまで一枚岩でレースに挑んでる点で勝り、勝利の常連である点が面白い。
結局は大企業フォードが勝つものの、勝利の鍵はエンジニアとドライバーという現場の力であり、潤沢な資金があるとはいえ、金で勝利は買えないというのが示されている。
現場からすると、真の敵はフェラーリではなく、上層部だったのだ。

映画『フォードvsフェラーリ』予告編 2020年1月10日(金)公開