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長い時間をかけてようやく村上春樹「ネジ巻き鳥クロニクル」を読み終えた。
これで村上春樹の長編小説を全て読んだわけだけど、その中でもこの小説は難解な部類に入ると思う。
たぶん初めて村上春樹を読んでみようとする人にはおすすめ出来ない。
とにかく、現実と非現実、現在と過去、現世とあっちの世界との行き来が激しく、村上作品というのはこんなもんだという割り切りがないと読みづらい。
いつものように、ここに登場する人物は、どれも普通ではなく、変な人ばかりである。
そして主人公はこれまた判で押したように、いつもの「僕」である。
「僕」はパスタやちょっとした料理をササっと自分で作り、ビールなどアルコールが大好きで、読書好きで、ひたすらプールで泳ぎ、奥さんは家を出ていってしまうのもいつも通りだ。
そして、誰にも心を開かない人物が、「僕」にのみ通じ合うのも、いつも通りである。
つまりいつもの村上ワールドのなかの物語なのだ。
この物語では「悪」の人が出てくる。
「悪」は人を空っぽにしたり、時には地縛霊のように土地にまとわりつく。
そして「僕」の妻をも奪っていく。
こういう「悪」との戦いというのは村上作品の一つのパターンで、最近の「騎士団長殺し」もそうだ。
この物語では「僕」の義兄が「悪」のアイコンになっており、同じく戦前のノモンハン事件における一人のソビエト軍将校にも「悪」がある。
「僕」の近所にある廃墟には、その土地そのものに「悪」があり、何故かそれらが繋がってるみたいになっている。
すごくわかりにくい設定で、いつものように「僕」があっちの世界(それは夢の中なのかパラレルワールドなのか死後の世界なのかよくわからない)への入り口は、枯れた井戸の底になっていて、頻繁に井戸へ入って瞑想してたりする。
普通、そんな人いないと思うけど。
文章のタッチはいつもの村上イズムに溢れていて、ときにユーモアもあり洗練されている。
村上春樹ファンに女性が多いのはこういうセンスに惹かれる人が多いからだろう。
僕は基本的に、相手が村上ファンであることがわかってる人以外に、自分か読者であることは公表しないけど。
凄いです。
考えてみたら、自分は漫画なんかも含めて誰かの作品を全て読破した経験がありません。
現実と非現実を行き来する作品ですか、難しいそうです。
独特で不思議な感覚の物語ですね。
でも、そういうところがファンを引き寄せているのでしょうね。
たくさんある村上春樹作品のうち、読破したのは長編だけで、エッセイや紀行ものや短編集はまだ未読のものもあります。
村上春樹ファンのなかには短編の方が好きって人もいますが、僕は長編の方が好きです。
またエッセイを読むと村上春樹独特の視点や考え方がわかって面白いです。
オリジナリティが確立されていて、ほかのどの作家にも似ていない作風なので、その分アンチも多いですね。
僕はアンチの言い分もすごくよくわかります。
よくも悪くもぶっ飛んでる作品が多いです。
また、村上春樹の本は好きだけど、村上ファンら嫌いって人もいて、それもすごくよくわかります。
よく、ノーベル文学賞の発表が近づくと、いわゆるハルキストたちが集まってたりするのですが、あのスカしたような雰囲気、意識高そうな言動など、絶対仲間には入りたくありません。