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なまこって、知っているだろうか。平面世界にいる昆布を膨らませて3Dにした生物である。中国では高級食材として扱われているが、日本ではその容姿から嫌われているようだ。
そのなまこを冠した名前の壁がある。そのものずばり、「なまこ壁」である。静岡の西伊豆を旅した時の予習で出てきたものである。冒頭の写真は江戸時代から残っているなまこ壁の家である。家の横の細い道は。全部が壁と面しているため、「なまこ壁通り」という名前がついた。
なまこ壁とは平に焼いた瓦を壁に張り付け、瓦と瓦の境目を漆喰で埋めたものである。その漆喰はなまこのように盛り上がった形である。そのことから「なまこ壁」と名づけられたそうだ。
このなまこ壁を見学して以来、ことあるごとになまこ壁の存在を目で捉えることができるようになってきた。何気に見ていた時代劇の街中の場面で、なまこ壁を認識することができた。そして様々な種類があることも知った。今日の写真2枚に使われているのは標準タイプである。
街中にある土産屋「なまこ壁」の表示
このタイプは瓦を斜めに貼り付け、その隙間を漆喰で塗り固めたものだ。漆喰の部分が斜めにしてあるのは、この方が雨などが瓦と漆喰の隙間に溜まらず、斜めの漆喰の部分を伝わって流れるため、壁の痛みを軽減するためだそうである。
先人の知恵というのは、このように旅のランドマークとして存在する物によって考えることができる場合もある。