さあ、デビュー戦だ。
何がって、ゆきたんくが3つのことに目覚めた時のことだ。
バスは静岡の伊豆にぐんぐん向かっている。
目指すは西伊豆である。
初日と最終日の3日目は、コース設定がされている。
往路と復路を兼ねての観光である。
間の2日目は、ツアー会社の予定に乗ってもいいし、自由でも良いのである。
ゆきたんくはもちろん自由コースを選んだ。
最初に言った3つのうちの一つ目は、初めて旅をするに当たって本格的な予習をしたことである。本屋で旅の本を求め、自分が足を運ぶ西伊豆がどんな所であるのか、そして見所はどこか、どう周れば効率的か・・・
3日目はもう疲れているのは分っている。寝て帰るのだ。眠気の前の最終娯楽が土産の購入である。もうそれだけ。
ということは2日目がメインエベントと言っても良い。
では目覚めの2つ目は何か。それは生まれて初めて、自分のデジカメを手に入れたことである。
今はもう代替わりしているが、キャノンのパワーショットを購入したのだ。そしてろくすぽ練習もせず、旅行当日が写真小僧(小僧か)のデビュー戦になったのである。もちろん、カメラを教えてくれた友達の、たくさん撮ることが上手になることへの近道という言葉を信じてである。
2日目のためにレンタカーの予約は済ませた。コースは西伊豆から北上して、沼津の大瀬崎に行き、海から10mしか離れていないのに水が真水である「神池」を見、次は名エベントである安楽寺の境内にある、まぶ湯である。土肥温泉の近くにあるのだ。温泉は鉱水である。この鉱の字を当てて鉱湯(まぶゆ)と言う。このまぶ湯は入浴はできないが、浴槽の脇に湯かけ地蔵というかわいいお地蔵様がいるという。このお地蔵様が、ゆきたんくの目覚めの3つ目である。名所旧跡でどうしても見たいものに目覚めた第1号ということだ。
さて、2日目は西伊豆の宿泊先、松崎プリンスホテル(現松崎伊東園)から北上して、神池の神秘に触れ、きれいな富士山を見て間隙する。そして旅人岬、土肥温泉、土肥金山、土肥神社、清雲時には目もくれず、安楽寺へ向かう。安楽寺の山門脇にある大きな石標が、彫られた「まぶ湯」の文字を誇らしげに見せびらかしている。
いよいよ湯かけ地蔵様とご対面である。そしてこの旅で鍛えたカメラの腕で湯かけ地蔵様とのツーショットが撮れれば、今回の「3つの目覚めツアー」(勝手に名前を作るなよぉ)は完璧になるのだ。
さて、安楽寺の駐車場で降車し受付へ。だぁれも出てこない。しょうがないのでまぶ湯の表示に従って歩を進める。
あったあった、まぶ湯の入り口である。
やっと来たぞ、赤い幟がいいねぇ。
そして歩を進めてみる。
「ん?」なんで通行止めなの・・・
で、近づいてみると「拝観中止」の表示
なあるほど、入浴ができないってことなんだね。
そして顔をあげると眼前に現れたのは・・・
崩れた入り口であった。
ということは中に入れない。湯かけ地蔵様に会えない。ここであえなくゆきたんくの計画も崩れたのであった。時はすでに午後3時を回っている。旅の本でも調べた。インターネットでも調べた。地元の情報紙(誌ではない紙である。)も調べた。
こんなこともあるんだなぁと思いつつ、盛り上がるだけ盛り上がったテンションが、真っ逆さまに落ちていく感覚に支配されるゆきたんくであった。
ところで「伝えたんく」は幸せを書くブログである。何が幸せだって?
今となっては、この時のことも笑えるからだ。