認知症予防のためには、発症前から、適切な対策を講じることが重要。
日常生活で「認知症グレーゾーン」の兆候を早期に察知し、
生活習慣を改善することが大切です。
「わくわく」、「ドキドキ」を感じる新習慣を取り入れ、
セルフケアを継続することが推奨されています。
楽しみながら予防を心がけましょう。
この記事は紙&WEBマガジン『毎日が発見』2024年8月号に掲載の情報です。
☆認知症を発症する前にできることから始めよう
少子高齢化が進むとともに、増加の一途をたどっている認知症の患者数。
内閣府では2025年には、約675万人(約5人に1人)が発症するという、
怖い予測が立てられています。
「脳の認知機能は、長い歳月をかけて、衰えていきます。
認知症を発症する前には、認知症グレーゾーン(軽度認知障害)と呼ばれる状態に入り、
さまざまな警告サインが見られるようになります。
このサインにいち早く気付き、グレーゾーンの段階で適切に対処することで、
健常な脳にUターンすることが可能です」と朝田先生。
物忘れが増えた、イライラしやすくなったなど
『これまでの自分と違う』と感じるようになったら、
それはグレーゾーンに入った可能性が高いといいます。
「老化現象だろうと安易に考えず、
病院で診察を受け、生活習慣を改善しましょう。
認知症は、生活習慣病の一つ。
早期発見・早期対応が回復の決め手ですよ」
☆あなたの脳の状態は?
日常生活に支障はないけれど「あれ?」、「ちょっとおかしいかも?」と感じたら、
下のセルフチェックで脳の状態を確認しましょう。
☆<認知機能をセルフチェック>
□やろうとしても「まあいいか」とやめてしまう
□人と会う約束を忘れたことがある
□同じことを繰り返し言ったり、尋ねたりする
□今何をしようとしていたか思い出せない
□段取りがヘタになった
□今日の日付が言えない
□長年の趣味が楽しめなくなった
□会計で小銭を使うのがめんどう
□外出が減った
□探し物が多い
このセルフチェックで3つ以上当てはまった人は、「認知症グレーゾーン」の可能性大です!
<チェックが0~2個だった人は・・・>
脳が健康な状態を保っています。
今後、認知症にならないために、紹介する新習慣を生活にプラスしてみましょう。
<グレーゾーンかも?な人は・・・>
まずは専門の医療機関で診断を受けましょう。
また、紹介する新習慣を積極的に取り入れ、脳の改善をはかりましょう。
☆暮らしの新習慣:「わくわく」「ドキドキ」が脳を刺激する
「認知症グレーゾーンからUターンするためには、
健康な脳に戻すために、積極的に取り組むことが大切です」と朝田先生。
そのための最大のカギは、「セルフケアを継続すること」にあるといいます。
長続きさせるためには、楽しみながら刺激を受けることが大切なため、
「年甲斐もない生き方をしましょう!」と朝田先生は訴えます。
「これまで自身が常識だと思ってきたことは、いったんリセット。
脳を若返らせるために、周りの目を気にせず、さまざまなことに挑戦してみましょう。
わくわく、ドキドキとした刺激が、脳をリフレッシュし、
認知症グレーゾーンから回復する一助となりますよ」
☆「時代劇」より「恋愛ドラマ」を
テレビや動画を見るなら、流し見をしていても結果が分かる「時代劇」より、
ドキドキが続く「恋愛ドラマ」がおすすめ。
「この人すてき」、「こんな恋をしてみたい」など、年齢に関係なくときめくことで、
脳内ホルモンが分泌され、脳が活性化します。
俳優やアイドルなど、自分だけの"推し" を見つけるのもアリ。
気分が向上し、生きる意欲が湧いてきます。
☆「瞑想(めいそう)」より「塗り絵」がいい
心を無にして静めるために行われる「瞑想」は、
記憶力や思考力に良いことが分かっています。
でも、瞑想するのは、なかなか難しいもの。
そんなときにおすすめなのが、「塗り絵」です。
指先を細かく動かす動作は、脳の働きを高め、血流をアップ。
心が穏やかになり、自律神経のバランスも整っていきます。
☆「カラオケ」で手拍子を打つ
手軽に楽しむことができ、ストレス発散におすすめの「カラオケ」。
大阪大学が行った研究分析によれば、楽器の演奏やカラオケを行う高齢者は、
男女ともに認知症のリスクが減少したそうです。
ストレスは、認知症のリスクを高めるので、大いに歌って発散しましょう。
歌いながら手拍子を打ったりステップを踏んだりすれば、脳をより活性化することができます。
☆「社交ダンス」でスキンシップを
家族や友人・知人とのスキンシップも、認知症対策に有効な手段。
でも、日本では、なぜかスキンシップは「恥ずかしいもの」として敬遠されがちです。
そこでおすすめなのが、恥ずかしがることなくスキンシップがとれる「社交ダンス」です。
異性と手を取り合って踊ることで、ドキドキが生まれ、
障害を負った海馬を回復させる働きがあるオキシトシンが分泌されます。
☆「仲間と麻雀」が、脳を活性化
仲間と一緒にワイワイと楽しむ「麻雀」も、脳の活性化をはかるためにおすすめ。
他の人とともに行う勝負ごとは、前頭葉を大いに刺激し、
脳内ホルモンの放出をうながします。
とくに麻雀は、役を覚えたり作戦を練ったりして、脳をフル活用するもの。
指先も使うので、脳に良い刺激を与えます。
周囲に仲間がいない場合は、オンラインの麻雀ゲームを楽しむのもアリ。
"対人"で行うことが脳に良い影響を及ぼします。
☆「ボランティア」で幸福感をアップ
自分のためではなく、誰かのために力を尽くす「ボランティア」は、
自分自身の幸福感を高めることで知られています。
この幸福感を生むのが脳内ホルモンで、脳を活性化するために役立ってくれるのです。
図書館での読み聞かせや、子ども食堂の調理、史跡の観光ガイド、街の清掃、
子どもの登下校の見守りなど、さまざまなボランティアが必要とされています。
最寄りの役所で「ボランティア活動をしてみたい」と相談してみるといいでしょう。
構成・取材・文/和栗 恵 イラスト/シュクヤフミコ ・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。