夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

永池健二(ながいけ・けんじ)・著の『逸脱の唱声 歌謡の精神史』、思わず読んでみたい本となり・・。

2011-11-24 15:18:43 | 読書、小説・随筆
先ほど、読売新聞の基幹ネットの【YOMIURI ONLINE】を見ていて、
【本のよりうり堂】の中の【書評】のひとつを読んだ後、読んでみたくなった本がある。

奈良教育大教授で日本文学を専攻されている永池健二(ながいけ・けんじ)氏が、
『逸脱の唱声 歌謡の精神史』(梟社)が上梓され、
立正大教授で古代文学、伝承文学の専攻と名高い三浦佑之(みうら・すけゆき)氏が、書評されていた。

http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20111121-OYT8T00400.htm
☆【YOMIURI ONLINE】<==【本のよりうり堂】
      <==【書評】<==『逸脱の唱声 歌謡の精神史』 永池健二著  評・三浦佑之(古代文学研究者・立正大教授)☆

私は三浦佑之氏の書評に導かれて、書評の魅力ある優(すぐ)れた文体を読んだりしたのである・・。

《・・
「酒盛」という語が登場するのは中世後半、南北朝から室町時代にかけてのことで、
それは酒を飲む行為が神事から離れて独自の楽しみになったことを意味する。

そこでは小歌をはじめ、「平家語り、早歌、能の小舞、小謡、乱舞等々」の新興芸能が行われた。
室町の歌謡集『閑吟集』の有名な一首「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ たゞ狂へ」が人々を誘引する言葉となるには、
風流踊りのような集団的舞踊の場や酒盛りが必要だった。

隠遁(いんとん)や漂泊が社会からの逸脱の一形式であったように、
人々を「<逸脱>の共同性」に誘うのが酒宴であり、歌=唱声であると説明されると、
我々の宴会やカラオケとも変わりがないと思う。

一方、独りさびしく歌う「鼻歌」は、
「中世と近世の境目頃に登場したきわめて新しい用語」らしい。
すでに「ひとり歌」という語は古くからあり、独りで歌を歌うことを古代では「うそぶく」と呼んでいた。
それは、「眼に見えぬ神霊や霊魂、鳥獣の霊など、この世ならぬ存在に働きかけてその力を喚起したり、退散させたり」
する行為だったと著者は言う。

さびしい夜道を独りで歩いていると、だれもが鼻歌を歌いたくなってしまうのは、
その原義から考えて当然のことだと気づかされる。


一般書とは言いにくいが、歌とは何か、人はなぜ歌うのかなど、
歌うことの意味を考えてみたいという人にはお勧めの、刺激に満ちた好著である。
・・》
注)原文にあえて改行を多くした。


私は東京郊外の調布市に住む年金生活の67歳となった身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭である。
そして雑木の多い小庭に古ぼけた一軒屋に住み、お互いの趣味を互いに尊重して、日常を過ごしている。

日常は定年後から自主的に平素の買物担当となり、
毎日のようにスーパー、専門店に行ったりし、ときおり本屋に寄ったりしている。
その後は、自宅の周辺にある遊歩道、小公園などを散策して、季節のうつろいを享受している。

ときおり、庭の手入れをしたり、友人と居酒屋など逢ったり、
家内との共通趣味の国内旅行をしたりしている。

日常の大半は、随筆、ノンフィクション、現代史、総合月刊雑誌などの読書が多く、
或いは居間にある映画棚から、20世紀の私の愛してやまい映画を自宅で鑑賞したり、
ときには音楽棚から、聴きたい曲を取りだして聴くこともある。

このような年金生活を過ごしているが、何かと身過ぎ世過ぎの日常であるので、
日々に感じたこと、思考したことなどあふれる思いを
心の発露の表現手段として、ブログの投稿文を綴ったりしている。


このように定年後からの生活を過ごしている中、
買物とか散策の途中、或いは小庭の樹木を眺めたりしていると、思わず鼻歌を唄ったり、
心の中で唄うことがある。
誰しも孤独があり、寂寥感を感じたり、ある時はささやかな悦びを感じる時などに、
私は発露していると思われる。

たまたま今回の浦佑之氏の書評に導かれて、
永池健二(ながいけ・けんじ)氏の著作『逸脱の唱声 歌謡の精神史』を読みたくなったのである。


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