中国料理「豊栄」 (ホウエイ)
最寄駅の茗荷谷駅から徒歩10分ほど。都道436号千川通り沿いの路面店です。
不勉強なことに、ドラマ版「孤独のグルメ」に登場したことでお店の存在を知ったのですが、
その際、蒸籠を使った料理が紹介され、ほかにも好奇心を煽るメニューがずらり。
香港料理っぽいものもあるのかしら?
その日以来、未知なる「豊栄」が私の頭の中を占拠。どうにも気になって仕方ない。
(寝太郎) 予約にトライしてみるよ。
なかなかつながらない電話に苦戦しましたが、なんとか希望日で予約を取ることが
出来たのは天の助け。きっと中華の神様が救いの手を差し伸べてくれたのね。
店の前に着くと、お客様を送り出すスタッフさん遭遇して、びっくり!
以前、他店でお世話になったI氏ではありませんか。
私達に気が付いた彼も驚いた様子でしたが、ここでまた会えるとは。
聞くと、シェフから招集がかかり、お手伝いに来ているのだそう。
入店すると、すっきりした店内はテーブル席のみでレイアウト。
私達は予約効果で入り口に近い2人掛けの席に着座できましたが、客足は途絶えず、
滞在中には幾度となく扉が開き、予約がなくまたタイミングが合わないために、
泣く泣くお客様を断る場面がありました。
さて、厨房内ではシェフのほかにも助っ人要員が導入され、またフロアも同様に増員。
「孤独のグルメ」の影響力って凄いなあ、としみじみです。
テーブル・セッティング:箸置き、箸(縦置き)、取り皿
テーブルクロス:なし
卓上調味料:なし
着座後:メニュー、タオルおしぼり(直置き)
生ビール@500×2を注文後、テーブルサイドに置かれたのは
(ノブロー) ほおほお、こいが五郎さんもチラ見してた当店の黒板メニューだで。
料理はその店内黒板及びグランドメニューからのアラカルトチョイスですが、
私達の好みを知るI氏のアドバイスがとても参考になりました。
オーダーした料理はサーブ時に説明が受けられ、取り分けは各自で行うスタイル。
生ビールのあとは、黄中皇(紹興酒)@2,300を注文していますが、
ボトルごと冷やしていてくれていたので蒸し暑いこの時期には嬉しく、また保存状態も良好です。
前菜の盛り合わせ 小(2~3人前)@1,600
グランドメニューからのチョイス。
ちなみに前菜三点盛り(1人前)は600円、前菜の盛り合わせはサイズがあり
小(2~3人前)1,600円、大(4~6人前)2,800円で提供しています。
①酔っ払い海老(酔蝦)・・・生エビの紹興酒漬け。
エビの持つ甘みを引き立てた漬け加減でねっちりとろ~んと夢見心地の旨さです。
②冬瓜の冷製・・・旬を先取り!瑞々しい冬瓜はフレッシュな歯触り。
タレは微かに辣油が効いていますが、素材感を生かしあっさりテイスト。
③高菜とインゲンの和え物・・・塩抜き良好。盛り合わせメンバーの中では地味な存在ですが、
高菜の風味を残しつつ、とても優しい味わい。
④叉焼・・・肉は脂身が多めで、柔らかく、噛みしめると甘みが口に広がります。
焼き立てではありませんが、当店スタイルのハニーローストポークかな。
⑤白切鶏・・・艶やかで肉質の良さは一目瞭然。キュウリをクッションに
相性抜群の葱生姜ソースがたっぷり。
この前菜の中でのハイライトは白切鶏!
主観によるものですが、断然気に入っちゃいましたよ。うんまい!
これをソースごと、どさーっとご飯にのせて食べたいなあ。
ハモの青山椒蒸し@1,500
黒板メニューから本カサゴの姿蒸しと迷ったうえでの悩ましい選択でありました。
タレは香味醤油をベースに青山椒を効かせ、オイルのコクもしっかり。
もう少し青山椒のパンチを効かせても良いのでは?と思ったけれど、
季節の食材を大切にした匙加減なのかもしれません。
ハモの身はふっくらでぷりっぷり、この健やかさに旬の恵みを感じます。
(寝太郎) あ、五郎さんも使っていた優れもののスプーンだ!
(管理人:イメージ) 寝太郎さん、タレは金魚すくいの要領でやってみて。
いっぱいすくえるわよ。
海老入りパクチー焼売4コ@600
メインの料理は提供まで時間を要するとのこと。その前にもう1品。
サーブ時には、そのままでお召し上がりください、と言葉が添えられました。
ジューシーでソフトな肉餡に粗くカットした具材の食感が生き、パクチー使いは
野趣あふれるものではなく、特有の香りはおとなしめで、レディな焼売です。
また、下味が強いように思えましたが、これは気合が入りすぎたため、でしょう。
デリケートな口当たりの焼売で1個にずっしりとした重たさがないため、
サイドメニューに丁度良いのではないかしら。
樟茶鴨脯(鴨の胸肉のスモーク)蒸しパン添え@1,500
樟茶鴨は、紅茶液に様々なスパイス等を加え漬け込んだ鴨を、樟(クスノキ)のチップで燻し、
蒸してから油をかけ、皮目をぱりっと揚げたもの。
器には、紅芯大根、カイワレ菜を付け合わせ、赤米粉を使用した自家製の
2色うすまき蒸しパンを添え、別皿には甜麺醤、十三香粉がセット。
五香粉は5種類の香辛料粉ミックスですが、十三香粉はその上をいく13種類。
クミンも入っていますから、中国東北地方のお料理にはもちろん、万能に使える香辛料で
スモーク系の料理にも絶大な威力を発揮するのです。
シェフは「月世界」さんほか、いろいろなお店で修業を積んだ方、という話ですが、
アラカルトチョイスの際に、なかでも四川系がお得意と聞き、この選択をしましたが、大正解!
芳しいスモーク香が食欲を焚き付け、鴨肉は味が濃く、旨みたっぷり。
十三香粉のちょいつけも楽しみましたが、甜麺醤もベタな甘さがなく、ふくよかな味わいでエレガント。
ご機嫌な美味さに、料理に合わせワイン(オープン・ナウ)@3,500を注文です。
また、うずまき蒸しパンもきめ細かくしっとりと、追加をお願いしたくなる美味さでした。
(レンタロー) 樟茶鴨は俗称、四川ダックな。美食家としても名高い西太后の好物という話だ。
煲仔飯(土鍋焼き御飯)@1,300
I氏より当店の進藤シェフをご紹介いただき、直々の料理説明。
煲仔飯を作るためにはコンロを40分間、独占しますが、当店の小さいキッチンで、
それを実行していたら、たちまちのうちにオペレーションがパンクしてしまいます。
そこで考えられたのがシェフオリジナルの煲仔飯。
海南鶏飯と煲仔飯を合体させた土鍋焼き御飯です。
(ノブロー) 熱いで!進藤シェフのエネルギッシュな中華料理愛に、情熱大陸を見ただ。
――当店の煲仔飯の食べ方ですが、
まず、蒸し鶏と青菜を別皿に移します。するとどうでしょう。
細かくカットした腸詰、松の実が入り、焦がし玉葱醤で味付けしたうっすらあめ色のご飯が現れました。
かき混ぜると、しっかりオコゲもできていて、私の好きなもの、必要不可欠なものを
搭載した合体飯のスペクタルな展開に瞬時にして心を奪われましたよ。
碗に盛り付け蒸し鶏と青菜をのせ、葱生姜ソース、香港醤油はお好みで。
主観ですが、玉葱醤でご飯にしっかり味をつけているし、腸詰の旨みも入っているので、
このままでも十分に味わい深く、私は油飯的な味のふくよかさを感じました。
しかし、蒸し鶏をONする場合は、断然、葱生姜ソース。当店の蒸し鶏&葱生姜ソースは美味い。
白飯ではありませんが、思いがけず、ご飯といただけて良かった。
進藤シェフの柔軟な発想と探求心に脱帽。香港の煲仔飯とは作り方が違いますが、
土鍋内でアジア紀行を楽しめた感じ。
シェフの作り上げる創作中華の世界は、胃袋だけではなく、心に栄養もたらしてくれました。
会計は、お酒のお替わり他を含め1人当たり8,000円(千円未満四捨五入)
ほかにおすすめは、黒板メニューのトップを飾る夫婦肺片、口水鶏と聞きましたが、
2人ですし、残念ながら初回ではそこまでカバーできませんでした。
またの機会に、お邪魔させていただきたいと思います。ご馳走さまでした。
豊栄 (ホウエイ)
東京都文京区小石川5-38-14 KDビル 1F
TEL 050-5593-4692
営業時間/11:30~14:30(L.O.14:00)17:30 ~22:00(L.O.21:00)
定休日 水曜日(不定休) -店舗情報「食べログ」より-