先週の土曜日は町内会のお宅の法事で、先々週の土曜日は町の囲碁将棋大会、その前の週の土曜日は、学年末テストを控えた塾生のための補習、さらに、その前の週の土曜日は、町長後援会主催の新春交流祝賀会・2次会・3次会・4次会、そして、その前の週の土曜日に事変は起っていた。
その週の始め、女房どのと、どこか温泉にでも出かけようかという話になった。ところが、天気予報を確認すると、週末の九州地方は雪となっている。だが、宿泊の必要な遠出は無理としても、日の高いうちに往き帰りができる近場の温泉ならば大丈夫だろうと考え、佐里温泉・登栄荘の「貸切り露天風呂付き超格安日帰りプラン」を予約した。
露天風呂付の部屋を2時間半利用でき、昼食までついての1人あたりの料金が、驚くなかれ、なんと3,725円である。まさに超格安だ。
当日の朝、家並みの瓦に昨夜来の雪が残っていた。天気予報どおりだ。しかし、冬空を覆う灰色の雲は瞬【またた】く間に消え、青空が広がり、太陽が顔をのぞかせた。この調子ならば、なんとかいけるだろう。
午前9時頃、自宅を発った。これまでの経験から、さすがに、国見山を越えるルートは無理だと踏み、国見山を迂回する路を選んだ。
絵理子さんが高校を受験する朝も、同じような天候だった。国見山道路がチェーン規制のため、有田を経由して試験会場の武雄まで車を走らせた。
あれから、ちょうど10年経つのだ。まだ、あどけなさの残る、絵理子さん15歳の早春だった。
予定通り、午前11時に佐里温泉到着。予約の旨フロントに申し出ると、準備ができているからと、すぐに部屋に案内された。驚かそうと、女房どのには登栄荘のHPの貸切り露天風呂の写真を、あえて見せていなかったのだが、想像していたよりも趣のある部屋で、2人とも一気にボルテージが上がった。
早速、私は露天風呂へと。
温泉と景色を独り占め、なんとも贅沢な気分だ。やがて、小雪がちらついてきた。
あっという間に、お湯から上がった女房どのが私の入浴シーンを、デジカメで撮ったり、ケータイで撮ったものを子供たちに送ったりして面白がっている。それを見た、くるみさんと、その友人らには大受けだったようだ。箸【はし】が転んでも面白い年頃だものね。
そうこうしているうちに午後1時半頃から雪の降り方が激しくなってきた。日中に、これほど雪が降るのは極めて稀【まれ】なことだ。滅多に味わうことのできない雪の温泉、女房どのに「写真!写真!」などと、1人興奮していた。その後の事変を知る由もなく。
〔つづく〕
その週の始め、女房どのと、どこか温泉にでも出かけようかという話になった。ところが、天気予報を確認すると、週末の九州地方は雪となっている。だが、宿泊の必要な遠出は無理としても、日の高いうちに往き帰りができる近場の温泉ならば大丈夫だろうと考え、佐里温泉・登栄荘の「貸切り露天風呂付き超格安日帰りプラン」を予約した。
露天風呂付の部屋を2時間半利用でき、昼食までついての1人あたりの料金が、驚くなかれ、なんと3,725円である。まさに超格安だ。
当日の朝、家並みの瓦に昨夜来の雪が残っていた。天気予報どおりだ。しかし、冬空を覆う灰色の雲は瞬【またた】く間に消え、青空が広がり、太陽が顔をのぞかせた。この調子ならば、なんとかいけるだろう。
午前9時頃、自宅を発った。これまでの経験から、さすがに、国見山を越えるルートは無理だと踏み、国見山を迂回する路を選んだ。
絵理子さんが高校を受験する朝も、同じような天候だった。国見山道路がチェーン規制のため、有田を経由して試験会場の武雄まで車を走らせた。
あれから、ちょうど10年経つのだ。まだ、あどけなさの残る、絵理子さん15歳の早春だった。
予定通り、午前11時に佐里温泉到着。予約の旨フロントに申し出ると、準備ができているからと、すぐに部屋に案内された。驚かそうと、女房どのには登栄荘のHPの貸切り露天風呂の写真を、あえて見せていなかったのだが、想像していたよりも趣のある部屋で、2人とも一気にボルテージが上がった。
早速、私は露天風呂へと。
温泉と景色を独り占め、なんとも贅沢な気分だ。やがて、小雪がちらついてきた。
あっという間に、お湯から上がった女房どのが私の入浴シーンを、デジカメで撮ったり、ケータイで撮ったものを子供たちに送ったりして面白がっている。それを見た、くるみさんと、その友人らには大受けだったようだ。箸【はし】が転んでも面白い年頃だものね。
そうこうしているうちに午後1時半頃から雪の降り方が激しくなってきた。日中に、これほど雪が降るのは極めて稀【まれ】なことだ。滅多に味わうことのできない雪の温泉、女房どのに「写真!写真!」などと、1人興奮していた。その後の事変を知る由もなく。
〔つづく〕