遼くんは、5打もあった貯金を吐き出してしまい、あっという間に後から追ってくる選手に並びかけられてしまった。並の選手であれば、そこからズルズルとスコアを崩していくものだが遼くんは違った。
13番、パー3のショートホールを手堅くパーにまとめる。
この日は遼くんにツキもあった。2位以下の選手のスコアが伸びないのだ。遼くんと同じ組で回っていた金選手は、12番でようやくトップタイにしたのに13番をボギーとしてしまった。これで再び遼くんは単独トップに立った。
続く14番はパー4のミドルホール、遼くんはここもパーでまとめたが、なんと金選手は致命的な連続ボギーだ。
残り4ホールを残して2位と2打差、遼くんとしては有り難い展開となった。
15番は両者パー。そして、圧巻の16番ホールへと最終組が進んだ。
16番は617ヤード・パー5のロングホールだ。プロならば2オンの可能性もあるが、グリーンをはずした場合のリスクは大きい。思わぬトラブルに見舞われたりする。3打目を100ヤード前後のアプローチショットが残るよう2打目をレイアップし、バーディを狙うというのが一般的な攻め方だろう。
ところが、遼くんはあくまでもその「可能性」を追求する。
2打差がつき、いくらか精神的に楽になったはずだ。ティーショットは豪快なドライバーショットで、フェアウェイの真ん中をとらえた。距離もかなり出ている。
そこから2オンを狙って、遼くんはフェアウェーウッドを手にした。スプーンだろう。
だが、距離があるのでピンをデッドに狙うのは不可能だ。このような場合、プロでもグリーンの真ん中あたりに見当をつけるはずだ。
遼くんはスタンスをオープンにとった。左からスライスで回してグリーンを狙うようだ。グリーンよりも左方向に打ち出されたボールは、左の林のOBゾーンから大きく右に出て、グリーン右エッジに止まった。スライスがかかりすぎた。
ピンまでおよそ15mの距離、うまく寄せることができればバーディだ。思い切りよく打ち出されたボールは勢いよく転がり始めた。が、明らかに強い。テレビを見ていた誰もが多分「強い!」とつぶやいた瞬間、ボールはピンにゴツンと当たり、跳ね返ってカップに吸い込まれた。なんと、チップイン・イーグルだ。
このチップイン・イーグル、実はミスショットの産物だったのだ。
テレビの画面では分からなかったが、ラインは馬の背のようだった。距離を合わせようとすれば、必ず右か左にそれる。狙って入るようなラインではなかった。強く打ち出されたボールだったからこそ、うまく馬の背の上を転がりピンまで到達したのだった。
勝つときは、こんなものだ。ツキを味方につけないと、そうそう勝てるものではない。勝負とはそういうものだ。
13番、パー3のショートホールを手堅くパーにまとめる。
この日は遼くんにツキもあった。2位以下の選手のスコアが伸びないのだ。遼くんと同じ組で回っていた金選手は、12番でようやくトップタイにしたのに13番をボギーとしてしまった。これで再び遼くんは単独トップに立った。
続く14番はパー4のミドルホール、遼くんはここもパーでまとめたが、なんと金選手は致命的な連続ボギーだ。
残り4ホールを残して2位と2打差、遼くんとしては有り難い展開となった。
15番は両者パー。そして、圧巻の16番ホールへと最終組が進んだ。
16番は617ヤード・パー5のロングホールだ。プロならば2オンの可能性もあるが、グリーンをはずした場合のリスクは大きい。思わぬトラブルに見舞われたりする。3打目を100ヤード前後のアプローチショットが残るよう2打目をレイアップし、バーディを狙うというのが一般的な攻め方だろう。
ところが、遼くんはあくまでもその「可能性」を追求する。
2打差がつき、いくらか精神的に楽になったはずだ。ティーショットは豪快なドライバーショットで、フェアウェイの真ん中をとらえた。距離もかなり出ている。
そこから2オンを狙って、遼くんはフェアウェーウッドを手にした。スプーンだろう。
だが、距離があるのでピンをデッドに狙うのは不可能だ。このような場合、プロでもグリーンの真ん中あたりに見当をつけるはずだ。
遼くんはスタンスをオープンにとった。左からスライスで回してグリーンを狙うようだ。グリーンよりも左方向に打ち出されたボールは、左の林のOBゾーンから大きく右に出て、グリーン右エッジに止まった。スライスがかかりすぎた。
ピンまでおよそ15mの距離、うまく寄せることができればバーディだ。思い切りよく打ち出されたボールは勢いよく転がり始めた。が、明らかに強い。テレビを見ていた誰もが多分「強い!」とつぶやいた瞬間、ボールはピンにゴツンと当たり、跳ね返ってカップに吸い込まれた。なんと、チップイン・イーグルだ。
このチップイン・イーグル、実はミスショットの産物だったのだ。
テレビの画面では分からなかったが、ラインは馬の背のようだった。距離を合わせようとすれば、必ず右か左にそれる。狙って入るようなラインではなかった。強く打ち出されたボールだったからこそ、うまく馬の背の上を転がりピンまで到達したのだった。
勝つときは、こんなものだ。ツキを味方につけないと、そうそう勝てるものではない。勝負とはそういうものだ。