新幹線の車窓は墨絵にグリーンの絵の具を落としたような景色が浜松あたりまで続いた。豊橋は晴れている。東日本は入梅で低温、西日本は晴れているという天気予報のとおりだ。米原の駅に着いたら、あたたかい。関東よりもあたたかいのは初めてだ。家に戻ると片付いているので落ち着かない。出かける前は片付けていくのだが、なんとなくおかしい。
家に戻るとパソコンをまず開ける。タブレットでもメールなどは読めるのだが、どうもしっくりしない。パソコンになれているのでスマホはダメだと思う。頭(こころ)→指先→キーボード という感じでものを書いている。お友だちはものを書くときは紙ベースでないとだめであとでパソコンに打ち直すという。私はキーボードがないと指が動かない。思いも動かない。パソコンの画面もないとダメだ。一体化しているのだろう。長い間の習慣かもしれない。
NHKのドラマに「デジタル・タトゥー」が面白い。まさに今の時代のドラマだ。一度流れた悪評や小さな罪がいつまでも消さずにネット上にのこるというのがデジタル・タトゥーだという。確かに今の時代はSNSでも炎上するとなにもわからない人間までが投稿していく。社会から誤解されたまま、排除されて元に戻れないこともあるという。ドラマは元検事で、ある事件をきっかけに弁護士になった50代の妻を亡くした男(高橋克実)と20代の年に億というお金を稼ぐユーチューバー(瀬戸康史)の巻き込まれていく事件を追って進む。でも、デジタル化の社会の中でネット上で起こる書き込みの原因はあまりにも人間臭い嫉妬や恨みだ。むしろ逆恨みであることが多い。
東京行きの新幹線で読んでいたのは「心の闇をのぞいたら」という森司教の本だったが、だれにでもある「こころの闇」生きづらさがますます一人で抱える時代のような気もする。今の人たちは直接ぶつかることもなく、人の気持ちへの感性も鈍くなるのではないだろうか。ものは指で書き表現するのではないと自分でも思う。こころ(感性)を鍛えていかなくてはならない気がする。「あなたはいまなにを思い、悩んでいるの?」と。