遠くで雷の音が聞こえる。伊吹山は綿帽子をかぶり頂上付近は見えない。雨がポツポツ降りだした。そんな夕暮れ時だ。
朝方、夢を見た。
背高のっぽの影とその半分くらいの影が月の光を受けて歩いている。
「背が伸びたの?」
「うん、そうみたいだ。きっと遠くが見えるようにしてくれたんだろう」
「肩車したら、もっと遠くが見えるわね」
二つの影は仲良く寄り添って歩いていく。
「どこまで歩くの?」
「あの草むらまで歩いて、星をみよう」
影は草むらまで歩いて、空を見上げて寝ころんだ。
「星が降ってくるわ。ねぇ、答えなくてもいいから、どこまで歩けるかな?」
「...。うん、行きたいところまで」
目が覚めて、マリア様にお祈りした。