四連休の後の土曜日のせいか町は静かだ。四連休はそれぞれに今までのステイホームの分外出を楽しんだのではないだろうか。うらやましい。秋は速足でやってきた。長そでに上着を羽織るくらいだ。
「阿修羅のごとく」という女のどろどろとしたドラマを見たので、今度はさわやかに美しい武士の物語をと「蝉しぐれ」を見ることにした。映画化もされているが、NHK金曜時代劇が海外でも高い評価を得ていた。物語は回想シーンから始まる。政変に巻きこまれて父を失い、家禄を減らされた少年牧文四郎の成長や、彼を慕う武家の娘(ふく)との淡い恋を描き、文四郎が過酷な運命を、強く、うつくしく、そして気高く生きる姿を描いていく。内野聖陽が文四郎をふくを水野真紀が演じている。2003年のドラマだ。
昨夜まで、胸につかえているものがあった。どうにも苦しかった。もう少し我慢すればいいのだとわかっていても、苦しい。「すべてのことに時がある」ではないが、吐き出すときだったのだろう。ただ吐き出すだけで、気持ちが落ち着いた。
ドラマは7回で完結する。文四郎とふくの心の底に流れる清い思いを回想シーンで二人が語りながら確認し合う。藤沢周平の原作だが、脚本がうまいと思う。凛としてさわやかな文四郎とふくの名前のようにふっくらとおだやかなうつくしいお福さまの回想シーンは心が洗われた。
さわやかの心で散歩に出ると、神社に白い萩が咲いていた。うつくしい!