お昼ごろ郵便局へ出かけると、途中の公園には枝が折れて落ちていたり、はなみずきの花びらなどがたくさん散っていた。夕べの風雨の強さをもの語っている。でも、若葉はさらにみずみずしい。この若草色は初夏の緑とも違い「若さ」を感じる。半分 あおい なのだろう。
平塚は名前のとおり、起伏のない土地だ。空襲に遭い、新しく出来た街だ。木も少なく、少し中へ入ると田畑が広がっている。海も近いが隣の大磯町の海と比べるとまったりしている。味気ない海岸線を作っている。坂もないこの街をあまり好きではなかった。情緒もない。
取材で各地を訪ねてみると、最近、どうも窮屈さを感じるようになった。平塚のような開放感がない。いつの間にかこの地の伸びやかさに慣れていたようだ。道路の広さだろうか。
人間もぼーっとしている人といると、こちらもぼーっとしてくる。小ざかしく立ち振る舞わなくなった。頭で行動していることは、どんなに気が利いていてもあとで心に残らない。のびやかな心がなによりだ。そんなぼーっとした心の奥にたまに朱色の塊を見つけることがある。それって感動だよね。