目が覚めると、なにか虚無感に襲われた。ふわーっと宙に浮いた幽霊のようだ。見た夢が悪いのか、いや、夢がなくなったからかもしれない。このコロナ禍でそんな気持ちになる人も多いのではないだろうか。それでも、食べて生きなくては。
5月の連休に植えられた稲の苗がかなりしっかり伸びている。青々していた小麦は、まさに小麦色の肌のようだ。山も緑が一段と濃くなった。今日は北からの風で少し肌寒いが心地よい。伊吹山もはっきり見えている。この自然の中で穏やかに生きてはいるが、なにかあったらどうするのかと思うこともある。先のことは考えてもしかたないが、お墓だけは決めておかないと。コロナの影響でなかなか出かけられない。
ごく普通の家庭で大勢の人に大事に育てられたのに、どこで間違ったのか一人で生活するようになった。家内制工業だったから(それほど大げさでもないが)食事は皆がそろって、10時や3時のおやつもあったなぁ。家にはいつも誰かがいたし、ご近所付き合いもよかった。どうして私は普通の暮らしが出来なかったのだろうか。
一人とは言え、生活はごく普通にしている。そういう意味では普通の暮らしだ。家族が形成できなかったのだろうなぁ。まぁ、いいや、一人でもきちんと暮らしているから。そのことは祖母や母に感謝している。できないのは、祖母や母のきれいなきちんとしたお辞儀だ。
この年になって思う。普通の暮らし(日常生活)が大事なんだなぁと。ちょっと、今の子どもたちが心配だ。
写真は「雪の下」