重い!この作品も重かった、けれど救いもあった。
第二次大戦中のドイツのユダヤ人迫害はよく知られているが、フランスでも国家による同様の
強制連行があり後にミッテラン大統領が過ちを認め謝罪していることは知らなかった。この迫害
を雑誌に取り上げる現代の女性ジャーナリスト、ジュリアが主人公。取材するうちに自分の夫の
家族が、当時迫害を受けて強制収用された後のアパートの一室に住んでいたことがわかってく
る。連行された家族のサラという少女の過酷な運命とその後の人生という過去、そしてそれを追
跡せずにはいられなくなったジュリアの現代が並行して描かれる。
ジュリアも自分自身の悩みを抱えての追跡取材が続く。追跡することが今の彼女の人生にも
大きな影響をもたらすことになるのだが、終盤になるとそこまでしつこく追跡しなくてもいいのでは
とも思える展開になり、正直「まだやるの」と思えてきた。しかしその後のいわばエピローグの部
分でのサラの息子とジュリアの会話の一言にグッとくるものがあった。
重い題材だったが、サラはどうなったのかという一点に惹きつけられ目が離せない作品だっ
た。