インドの6500M峰メルーのシャークスフィンと呼ばれる壁を登る3人の男たちの物語。といっても俳優によって演じられるのではなく実際の記録映画である。それだけに映像には迫力がある。
さらには、1回目の挑戦に敗れて2回目に挑戦する間のドラマがすごい。雪崩に巻き込まれて無傷で生還する者あり、頭蓋骨骨折、頸椎損傷の瀕死の状態からすさまじいリハビリで半年後に再挑戦に復帰する者ありといろいろのドラマがある。せっかく助かった命をまた賭けようとするのだからロッククライマーという人種は本当に業が深く、全面的に共感するのは無理だが、少なくともその映像は魅力的だ。
人の命はあっけないほどはかない場合もあるが、恐ろしく強靭でしぶといこともあるのだとつくづく思ってしまう。
ただもし日常的に命の危機にさらされているような紛争地域の人たちがこの映像を観たら、ただただ「登りたい」ということのために命をやりとりするというのはものすごく贅沢なことと受け止められるのではないかとふと考えてしまうのだった。