のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

部門内研修で学んだこと

2008年06月14日 23時31分54秒 | 日常生活
本日は部門内研修なるもので出勤でした。
研修テーマは「従業員満足度について」。
どうすれば従業員満足度が向上するのか、
なぜ、ワタクシたちの満足度は低いのか、
じっくり話し合おう、意見を交換しよう、
正直に本音を話そう、という場でした。

正直なところ、準備をしている間中
テーマの重さにやさぐれかけていたのですが
実施してみると意外に楽しめたような。
世の中にはいろんな考え方の人がいるんだなぁ
というものすごく当たり前のことを本日も実感させられました。

誰のために働くのか、とか
誰を見て仕事をしなければいけないのか、とか
誰のためにサービスをしなければいけないのか、とか
人によって思いは異なるわけです。
いろんな思いを伺っていると、
「そうか!そういうことか!」と納得できるところもあれば
「・・・それはどうなのよ?!」と思えるところもあり
非常に面白い5時間でした。
納得できなかった意見も、知ることによって、今後は
「だって、この人はそういう思いで働いているんだもの。」
と割り切ることができるような気がしないでもなく
まあ、ある意味、有益だったのではないかと。

研修終了後は懇親会。
なぜかワタクシの周囲に座った方は既婚男性ばかりで
中盤以降はひたすら夫婦のあり方について、
男女の違いについて激論を交わされていました。

「最近、つくづく思うんですけど。
 うちの奥さんは外人だと思うんですよ。
 会話がまったく通じない。
 外人だと思わなきゃ、やってられませんよ。」

ちょっと?!

「そら、そうばい!!
 あんなん同じ日本人のわけ、なかばい。
 なんでも『言わんなわからん』とばい。面倒くさい。
 言わんでもわかろうもん!
 ちゅーか、言っても分からんやないか!って言いたいですよ。」

ちょっと!ちょっと!
プロポーズしたときの気持ちを思い出して!

「そこですよ!
 こっちはプロポーズしたつもりなんてないんですよ。
 なのに、あっちはプロポーズされたとおもっとる。
 勘違いも甚だしいっちゅう話ですよ。」

「お。部長のところもですか!
 うちもですよ。まあ、うちはボランティアのような気持ちで
 こいつは俺が拾ってやらんな、生きていけんのやないか、
 と思ったんですけどね。捨て犬を引き取ったような感覚ですよ。」

ちょっと!ちょっと!ちょっとー!!
でも、奥様のことを少しは「かわいい」と思ったところが
あるから、結婚してもいいかな、と思ったんでしょう?

「まあ、こんなもんかな。と思ったんですよ。」

「そうそう。不思議なことに結婚するやろ?
 三日もすると、奥さん以外の人がみんな美人に見えるんよ。
 あれは、本当に不思議やねー。」

・・・・ワタクシ。
まだ独身でして、結婚というものに
夢や希望や幻想を抱いている繊細なお年頃なのです。
殿方の本音トークを聞くのは、もそっと後で結構です。

本日の部門内研修。
研修後も、大変有益な時間を過ごすことができました。

悪人/吉田修一

2008年06月14日 09時44分35秒 | 読書歴
45.悪人/吉田修一

■ストーリ
 なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう。
 携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。彼は携帯サイトで
 出逢った別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか。
 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。
 ひとつの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描く。

■感想 ☆☆☆☆
 様々なところで話題になっており、評価も高いことを知ってはいたが
 なんとなく読後感を考えて、手に取ることができなかった作品。
 しかし、知り合いから「福岡の住民なら、最初の数ページを読む
 だけでも楽しめるよ。」と勧められ、借りた。なるほど。福岡市民
 特に早良区の住民は冒頭の場面を興味深く読み進められる。久留米市民
 にもお勧めかもしれない。

 しかし、読後感は当初の直感通り、なんともいえないものだった。
 「幸せになりたかった。ただそれだけを願っていた。」
 帯に書かれている言葉が読後に重くのしかかる。

 何よりタイトル「悪人」が重く重くのしかかる。誰が悪人なのか
 そもそも悪かったのは誰なのか、何なのか。どうすれば事件は
 起きなかったのか。どうすれば、よりよい「終わり」を迎えられたのか。
 出発点と帰着点を必死に見出そうとする自分がいる。
 しかし、答えは出ない。

 殺された佳乃の愚かさが確かに目立つ。殺されるまでの描写が
 あまりに辛らつで「殺されても仕方がない」と思える部分もあった。
 正直なところ、あまり同情できなかった。しかし、そう感じるであろう
 読者を見計らったように、作者は娘を失った父親にも目を向け
 その描写にもかなりのページを費やしている。
 「殺されても仕方がない」人間などいない。そう言い切ることは
 できない自分がいる。けれども、誰かにとっての大切な人を奪っても
 いい人間などいない。そう思うことはできた。

 殺された女性の父親の言葉が印象に残った。
 「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。
  大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には
  失うものがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。
  失うものもなければ、ほしいものもない。だけんやろ、自分を
  余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、ほしがったり
  一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。
  本当はそれじゃ駄目とよ。」 

はじめての文学/村上春樹

2008年06月14日 09時25分17秒 | 読書歴
44.はじめての文学/村上春樹
■内容
 小説はこんなにおもしろい。文学の入り口に立つ若い読者へ
 向けた自選アンソロジー。 はじめてのひとも、春樹ファンも
 欠かせない一冊。「シドニーのグリーン・ストリート」
 「かえるくん、東京を救う」など17編を収録。

■感想 ☆☆☆*
 「沈黙」「緑色の獣」「かえるくん、東京を救う」の3編以外は
 すべて初読。全体的に明るい色合いの作品が多く、楽しく読めた。
 「はじめての文学」というテーマで、文学の入り口に立つ人向け
 に作られた本だからかもしれないし、短編集だからかもしれないが、
 私が今まで読んで感じた「村上春樹さんらしい」作品はあまりない。
 むしろ、村上さんってこんな作品も書くのか、と驚きを持ちながら
 読み進めた作品が多い。特に星新一を思い出させるショートショート
 は、短い中に作品世界を見事に作り上げていて魅力的。「鉛筆削り」
 「タイム・マシーン」「ドーナツ化」や「インド屋さん」を読み
 ながら、こんな話を思いつくことができる村上さんのすごさを
 改めて思った。

 どれも非常に面白かったけれど、特に印象に残ったのは
 「シドニーのグリーン・ストリート」の羊男のかわいらしさ、
 「鏡」の中の「自分」に感じるおぞましさ、恐ろしさ、そして、
 「とんがり焼きの盛衰」で感じられる村上さんの自分の作品に対する
 こだわりや「文壇」と呼ばれるものへの想いだ。

 色々な村上さんに会えてお得な一冊だった。
 他の作家さんのシリーズもぜひ読んでみたい。

百年分を一時間で/山本夏彦

2008年06月14日 08時50分53秒 | 読書歴
43.百年分を一時間で/山本夏彦

■内容
 大正四年生まれと平成の才媛の珍問答。時に爆笑、時にまじめ。
 花柳界から世紀末論争、「IT革命」までを語りつくす。
 「誰か『戦前』を知らないか」の続編。

■感想 ☆☆
 おじいさんの昔語りを聞いているような気持ちにさせてくれる一冊。
 毎回、テーマを決めて話を進める山本さんと山本さんの部下にあたる
 女性との対談がコンパクトにまとめられている。テーマを決めては
 いるものの、思い出すままに話を脱線させる山本さんの話は、何に
 ついて語っているのかがわからないくなり、時に読み手を混乱させる
 部分はあるものの、知らなかった「戦前」を身近にしてくれて面白い。

 「お前はそんなことも知らんのか。本当にポンやのう。」
 と言いながら、いろんなことを教えてくれた祖父を思い出しながら
 読み進めた。

 母親が明治19年生まれだという山本さんは、母親から聞いて知って
 いる明治時代の話も鮮やかに語る。そして自分自身の若い頃
 昭和10年代から20年代にかけて、日本が戦争に向かっていた頃の
 話も「楽しかった時代」として話す。読み進めながら久世光彦さんを
 思い出した。彼も戦争に彩られた「あの頃」を「決して嫌なこと
 ばかりではなかった。きちんと生活に笑いがあった。普通の幸せが
 あった。」と著作の中で何度も語っている。山本さんも日本の戦前
 から戦中を「文化的に豊かだった時代」として、話している。

 今はなくなってしまったもの、話ですら聞いたことがなかったもの
 言葉は残っているけれど、中身が変わってしまったもの、それぞれが
 時代を映していて興味深かった。
 ただ、少々まわりくどいため、一時間では読めなかった。