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ブラフマンの埋葬/小川洋子

2008年06月25日 22時42分15秒 | 読書歴
46.ブラフマンの埋葬/小川洋子
■ストーリ
 「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
 夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。
 あたたかくて、せつなくて、いとおしい。
 こころの奥に届く忘れられない物語。

■感想 ☆☆*
 夏のある日にやってきたブラフマンの正体は、最後まで
 はっきりとは分からない。おそらく想像上の産物。
 けれども、ブラフマンの動きや挙動に関する描写が詳しく、
 具体的な姿は分からないのに、いつの間にか、その姿を
 愛らしく思えるようになる。
 自分を助けてくれた主人公に、計算とは無関係のひたむきな愛情を
 注ぎ続けるブラフマンを暖かい気持ちで見守りながら読み進めた。

 ストーリ自体は、淡々と進む。
 特に大きな事件はなく、夏の始まりから終わりまで、
 ブラフマンが主人公のところに来て、そして逝ってしまうまでを
 主人公とブラフマンの関わりを中心に描く。待っているのは、
 タイトルからも分かる結末。
 どこの国でのことなのか、いつの時代のことなのかも
 判然としない世界で待ち受ける結末は、ノスタルジックな
 風景画を見たときのような、寂しい気持ちを思い出させる。