のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

嵐ライブ!

2008年06月21日 00時20分35秒 | 音楽鑑賞
会社の先輩から「嵐のライブ、行く?」と誘われて、反射的に
「行く!」と答えてしまい、一昨日、ドームに行ってまいりました。
予定がない限り、お誘いを受ければ、反射神経で
「はい!」とか「行きます!」とかノリノリで答えてしまうので
本当に「うっかり」行くことになったわけですが。

・・・嵐の曲って知らないかも。
ワタクシ、小さい頃からものすごく勤勉に働かれている
ジャニーズの方々はもれなく尊敬しているので
ジャニーズ勢のことは、ついつい温かい目で見守ってしまうのです。
だって、年間の休日が3日とか4日ですってよ?
そんな生活、耐えられないっ。
なのに、いつも笑顔。
ちょっとビミョウな衣装だって、躊躇なく着こなしてるし。

と、こんなにも暖かい目線で見守っているだけあって
メンバーはかなり知っている方だと思うのです。
なんなら、どのお方も、割と「好き」かもしれない。
小さい頃から見守りすぎて、親戚のおばちゃん目線で好きかもしれない。

でも、親戚のおばちゃん目線だから
歌なんて注目してない。聴いてない。
聴いてるかもしれないけど、意識に残ってない。
どうしよう。
合いの手とか多分入れられない。
丁度いいタイミングでジャンプなんてできない。
つーか、メロディについていけるかどうかもわかんない。
だって、嵐ってラップみたいな曲だった気がするし。
ワタクシ、リズム感のなさはかなり自慢できるほうだし。

と、ライブが近づくにつれておたおたしていたのですが。
同期から
「大丈夫!ジャニーズのライブはエンターテイメントだから!
 サーカスとか舞台とか見に行く感じで楽しめるから!」
と太鼓判を押されてドームに向かいました。

すごかった!
楽しかった!!
本当に行く前の心配はまったくの杞憂でした。
反射神経で「行く」って答えてよかった。
行く前の不安に負けて
「急に出張に行くことになっていけなくなりました。」
なんて連絡しなくてよかった。
(本気で悩んでました。)

ジャニーズの「お客を楽しませる姿勢」のすばらしさに
最初から最後まで感心しっぱなしの3時間でした。
すごいわ、あのプロ根性。
そして、すごいわ。あの人心掌握の術。
幹部社員研修の一環として、このライブを
幹部社員の方々に見てもらってもいいんじゃない?
というぐらい、ドームいっぱいの観客の心を掴んでおりました。

最もすごいなぁ、と思ったのは
広い広いドームで端の端の端にいる観客に
「遠い。」と感じさせない技術、工夫、そして努力。
ステージの配置を工夫して、可能な限り
観客の近くに行ける様にし、更にはそのステージさえからも
飛び出せるように、デパートの屋上にありそうな乗り物を用意して
観客の近くに行こうとしていることを分かりやすくアピール。

「ステージより近くに来てくれている」
この事実だけで、お客様の満足度一割り増し。
実際にはまったく近くないけれど
それでも「努力してくれているんだ」っていう嬉しさを味わえます。

ただ、どんなに努力をしても、ドームだと
奥の奥の奥のほうは、やはり遠いのです。
それも頻繁な声かけと細かい目配りでカバー。
「奥の子たち、見えてる?」とか
「そっち、大丈夫ー?」とか「わざわざ」の声かけをしてくれたり
観客席を指差しで指定してから手をふってくれたり
「あ!今、私たちのゾーンにかまってくれてるんだ!」
ということが分かるように行動してくれるのです。

すんごくナチュラルに、
ドームいっぱいの人々の注意をそらさず
思いっきり、楽しませていました。
ワタクシもすんごいナチュラルに
「へい!」とか言いながら片腕あげてました。
嵐のメンバーが合図してくれたところでジャンプしてました。
・・・でも、ラップにはのれませんでした。
勢いで、のれるかも!と思ったけれど、勘違いでした。

でも、楽しかった。
大野君、大好きになっちゃいました。
この勢いだと、間違いなく7月からの新ドラマ「魔王」を
見ちゃいそうな勢いで好きになりました。
歌もダンスもうまいのに、フリートークのコーナーでは
ほとんど喋らないところとか、メンバーに
「そこの不幸そうな人」と呼ばれて
素直に近寄っていくところとか。
どこまでも「控えめ」な感じがものすごく面白くて
中盤以降、ひたすら大野君を目で追ってました。

先輩に「大野君のかっこよさに気付きました。」と訴えたところ
「あぁ・・・。そっちに行っちゃったか。」
と、ため息をつかれましたけど。
妹にも大野君のかっこよさを熱く語って、断固拒否されましたけど。

とにかく3時間、思う存分、楽しめたライブでした。
あ。正確には、思う存分楽しめたのは、2時間40分ぐらい。
先輩方は大分から来ていたため、2時間40分を過ぎた頃
「これ以上、おったら、バスがなくなるけん!
 じゃあね!のりぞうちゃんは最後まで楽しんで!!」
と、バタバタと帰っていかれたのです。

ぽつんと取り残されました。たったひとり。
横には空席が3つ。

・・・・空席3つって、かなりドキドキするんですけど。
4人の空間にひとりって、割りと目立つ感じなんですけど。
満員のライブでは特に。
見通しがよいだけに、アンコールのときは
ワタクシのひとりジャンプがものすごく目立ちました。
ひとりで行ったわけでもないのに、
ものすごい孤独感を味わえました。

成果主義の会社社会

2008年06月20日 00時39分27秒 | 日常生活
ワタクシの勤めている会社は、
「目標管理評価制度」なるものを導入しております。
半期に一度、目標を立てて、
期末に目標が守れているのかを確認するシステムです。

本当は期末に「評価面談」をしなければならないのですが、
総務、人事周りは年度末から5月末までバタバタしていたため
先月末、ようやくようやくで面談を行いました。
ワタクシ、自分というものをよく知っているため
評価面談自体はさっくりと終わります。

「あ。これしてません。Cですね。
 あ。これもしてません。Cでお願いします。
 あ。これもあんまりしてません。Cでお願いします。
 あ。これはほんの少ししました。Bでもいいかもしれません。
 これはしました!ここはAでお願いします。」

と、さくさくと下期の自分の状況を部長に報告していると
部長が困ったようにおっしゃいました。

「のりぞうくん。いくらなんでも、Cばっかりは困るばい。
 これ、ほんの少しはしとったやないね。
 Bにしてもいいんじゃないんですか?」

確かに取り組みはしましたけど。
あの状況で「ほんの少しはした」なんて言ったら
おこがましいですよ。本当の本当にほんの少しですよ?

「いいですって。Bにしときましょう。
 がんばってましたって!
 言ってみたほうがいいですって。」

部下思いの上司が太鼓判を押してくださいましたが。
でも、本当にしていないのです。
自信を持って「していない」と言えるのです。
というか、「ほんの少しした」なんて言う自分が
恥ずかしくなるぐらいしか、やっていないのです。
Cでお願いしますっ。

と、部長を説得して評価シートを提出いたしました。
評価シートを提出した後は、部門ごとに最終評価が下されます。
数日後、部長が申し訳なさそうに、最終結果を報告してくださいました。

「のりぞうくん。すみません・・・。
 Aは取れませんでした。
 かなりの確率で、Aでも行けるんじゃないかなぁ、
 と思ってたんですけどねぇ。無理でした。」

・・・・ぶちょお?
自己評価がBとCしかない面談シートで
Aを主張したんですか?
なんて、図々し・・・コホン。なんたる部下思い精神!素敵!

「本当に申し訳ない。今期は頑張りましょう!」

はい!ワタクシ、がんばります!!


・・・でも、その前に。
そろそろ今期の目標を決めなくては。
せめて、折り返し地点を過ぎる前に今期の目標を決める。
それが現時点でのワタクシの第一目標です。

想像力

2008年06月18日 00時24分33秒 | 日常生活
高校の同窓会で知り合うことができた先輩が火事に遭い
ご自宅が全焼されました。
新聞でもかなり大きく取り上げられるほど大きな火事で
先輩のお孫さんは未だに意識不明の重体。
予断を許さない状況です。
不幸中の幸いは、隣家への類焼を免れたこと。
お孫さん以外のご家族6人は無事に逃げることができたこと。

そんな状況の先輩が周辺地域の方々から
「こんなに迷惑をかけておきながら、
 いっちょん挨拶にも来んけんね。」
というようなことを言われていると伺い
ものすごくたまらない気持ちにさせられました。
確かに火元は先輩の家で、周辺の方々に
ご迷惑をおかけしてしまったのは事実。
けれども、家財道具すべてを失くして、
お孫さんの状況もよく分からない状況では
「迷惑をかけた」なんてことにまで気が回らないと思うのです。
まして、火事からまだたったの4日。
「今は、何が大変なんかもよくわからんもんねぇ。」
と力なくおっしゃった先輩の言葉がすべてを物語っていると思うのです。

「村八分」という言葉は
もう何も面倒を見てやらんけれども、火事と葬式のときだけは
そんなことも言ってられんほど大変だから協力しましょう。
でも、残りの八分は知らんよ、という言葉だそうです。

でもな。
私も隣の家が火事になったら
「巻き込まれた」と思っちゃうんだろうな。
ぶうぶう文句を言ってしまうんだろうな。
本当に大変なのは、誰なのかも分からずに
色々と文句を言ってしまうんだろうな。

と、またもや考え込んでいたら
新聞の記事で「相合傘禁止」の校則がある中学のことを知りました。
相合傘をして、ふたりでひとつの傘を分け合うと
どうしても、傘を差し出す子のほうが多くぬれてしまう。
そのために、うちの子が風邪をひいた!!
と親が怒鳴り込んできたためにできた校則だそうです。

なんというか。
世の中に起こっているいろんなことの根は同じだと思う。

主役はアタシ!

2008年06月15日 21時40分05秒 | 日常生活
実はほんの少し、引越しを考えています。
めでたく30代を迎えるし、心機一転。
教会トモダチにその話をしたところ、
「送別会せなねー」
と言ってくれました。

きゃ!いいの?!
いつにする?!いつにする?!

ちょうど若手メンバーが揃っていたので、
早速スケジュール帳を開き、日程調整を始めます。

「どうする?週末がいいよね?」
「俺、土曜日は全部、うまっとるわ。」
「じゃあ、日曜日?今月末の日曜日は?」

・・ごめん。その日はちょっと・・・。
ワタクシ、福岡にいないのよ。

「えー?!おらんと?!
 つーか、別にのりぞうはおらんでもよくない?
 日程は、多数決で決めようや。」

「じゃあ、欠席の場合は、のりぞうの写真でも飾っとく?」

相変わらずワイルドな人たちです。
あぁ。引越しをしてしまうと、こんなに素敵な方々のいる
教会にめったに通えなくなってしまう・・・。
そのことだけがものすごく心残りなのです。

わからないなりに。

2008年06月15日 21時24分35秒 | 日常生活
秋葉原の事件から一週間が経ったけれど
事件の衝撃が大きすぎて、そしてその後の報道が
あまりにも色々と偏っていて、言葉にならない気持ちが渦巻き
自分がこの事件について、どう思っているのかがよく分からない。

最近のワイドショーっぽいニュースを見れば見るほど
自分の気持ちがぐるぐるするので、
新聞以外からは情報を得ないようにしている。

そんなときに、この事件についての自分の思いを
きちんと言葉にしているこのページを見て、思わずため息をついた。
いろんな情報が渦巻く中で、自分の意見や事件の本質を見失わず、
なおかつ冷静に意見を述べることができている彼女を心から尊敬する。

私は未だにこの事件について
自分の意見をきちんとまとめることができないでいる。
たぶん、これからもきっとまとまらない。
だから、せめて、この衝撃の大きさを忘れずにいたい。

「そういえば、こんな事件もあったねぇ。」
という言葉で終わらせないようにしたい。

部門内研修で学んだこと

2008年06月14日 23時31分54秒 | 日常生活
本日は部門内研修なるもので出勤でした。
研修テーマは「従業員満足度について」。
どうすれば従業員満足度が向上するのか、
なぜ、ワタクシたちの満足度は低いのか、
じっくり話し合おう、意見を交換しよう、
正直に本音を話そう、という場でした。

正直なところ、準備をしている間中
テーマの重さにやさぐれかけていたのですが
実施してみると意外に楽しめたような。
世の中にはいろんな考え方の人がいるんだなぁ
というものすごく当たり前のことを本日も実感させられました。

誰のために働くのか、とか
誰を見て仕事をしなければいけないのか、とか
誰のためにサービスをしなければいけないのか、とか
人によって思いは異なるわけです。
いろんな思いを伺っていると、
「そうか!そういうことか!」と納得できるところもあれば
「・・・それはどうなのよ?!」と思えるところもあり
非常に面白い5時間でした。
納得できなかった意見も、知ることによって、今後は
「だって、この人はそういう思いで働いているんだもの。」
と割り切ることができるような気がしないでもなく
まあ、ある意味、有益だったのではないかと。

研修終了後は懇親会。
なぜかワタクシの周囲に座った方は既婚男性ばかりで
中盤以降はひたすら夫婦のあり方について、
男女の違いについて激論を交わされていました。

「最近、つくづく思うんですけど。
 うちの奥さんは外人だと思うんですよ。
 会話がまったく通じない。
 外人だと思わなきゃ、やってられませんよ。」

ちょっと?!

「そら、そうばい!!
 あんなん同じ日本人のわけ、なかばい。
 なんでも『言わんなわからん』とばい。面倒くさい。
 言わんでもわかろうもん!
 ちゅーか、言っても分からんやないか!って言いたいですよ。」

ちょっと!ちょっと!
プロポーズしたときの気持ちを思い出して!

「そこですよ!
 こっちはプロポーズしたつもりなんてないんですよ。
 なのに、あっちはプロポーズされたとおもっとる。
 勘違いも甚だしいっちゅう話ですよ。」

「お。部長のところもですか!
 うちもですよ。まあ、うちはボランティアのような気持ちで
 こいつは俺が拾ってやらんな、生きていけんのやないか、
 と思ったんですけどね。捨て犬を引き取ったような感覚ですよ。」

ちょっと!ちょっと!ちょっとー!!
でも、奥様のことを少しは「かわいい」と思ったところが
あるから、結婚してもいいかな、と思ったんでしょう?

「まあ、こんなもんかな。と思ったんですよ。」

「そうそう。不思議なことに結婚するやろ?
 三日もすると、奥さん以外の人がみんな美人に見えるんよ。
 あれは、本当に不思議やねー。」

・・・・ワタクシ。
まだ独身でして、結婚というものに
夢や希望や幻想を抱いている繊細なお年頃なのです。
殿方の本音トークを聞くのは、もそっと後で結構です。

本日の部門内研修。
研修後も、大変有益な時間を過ごすことができました。

悪人/吉田修一

2008年06月14日 09時44分35秒 | 読書歴
45.悪人/吉田修一

■ストーリ
 なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう。
 携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。彼は携帯サイトで
 出逢った別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか。
 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。
 ひとつの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描く。

■感想 ☆☆☆☆
 様々なところで話題になっており、評価も高いことを知ってはいたが
 なんとなく読後感を考えて、手に取ることができなかった作品。
 しかし、知り合いから「福岡の住民なら、最初の数ページを読む
 だけでも楽しめるよ。」と勧められ、借りた。なるほど。福岡市民
 特に早良区の住民は冒頭の場面を興味深く読み進められる。久留米市民
 にもお勧めかもしれない。

 しかし、読後感は当初の直感通り、なんともいえないものだった。
 「幸せになりたかった。ただそれだけを願っていた。」
 帯に書かれている言葉が読後に重くのしかかる。

 何よりタイトル「悪人」が重く重くのしかかる。誰が悪人なのか
 そもそも悪かったのは誰なのか、何なのか。どうすれば事件は
 起きなかったのか。どうすれば、よりよい「終わり」を迎えられたのか。
 出発点と帰着点を必死に見出そうとする自分がいる。
 しかし、答えは出ない。

 殺された佳乃の愚かさが確かに目立つ。殺されるまでの描写が
 あまりに辛らつで「殺されても仕方がない」と思える部分もあった。
 正直なところ、あまり同情できなかった。しかし、そう感じるであろう
 読者を見計らったように、作者は娘を失った父親にも目を向け
 その描写にもかなりのページを費やしている。
 「殺されても仕方がない」人間などいない。そう言い切ることは
 できない自分がいる。けれども、誰かにとっての大切な人を奪っても
 いい人間などいない。そう思うことはできた。

 殺された女性の父親の言葉が印象に残った。
 「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。
  大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には
  失うものがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。
  失うものもなければ、ほしいものもない。だけんやろ、自分を
  余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、ほしがったり
  一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。
  本当はそれじゃ駄目とよ。」 

はじめての文学/村上春樹

2008年06月14日 09時25分17秒 | 読書歴
44.はじめての文学/村上春樹
■内容
 小説はこんなにおもしろい。文学の入り口に立つ若い読者へ
 向けた自選アンソロジー。 はじめてのひとも、春樹ファンも
 欠かせない一冊。「シドニーのグリーン・ストリート」
 「かえるくん、東京を救う」など17編を収録。

■感想 ☆☆☆*
 「沈黙」「緑色の獣」「かえるくん、東京を救う」の3編以外は
 すべて初読。全体的に明るい色合いの作品が多く、楽しく読めた。
 「はじめての文学」というテーマで、文学の入り口に立つ人向け
 に作られた本だからかもしれないし、短編集だからかもしれないが、
 私が今まで読んで感じた「村上春樹さんらしい」作品はあまりない。
 むしろ、村上さんってこんな作品も書くのか、と驚きを持ちながら
 読み進めた作品が多い。特に星新一を思い出させるショートショート
 は、短い中に作品世界を見事に作り上げていて魅力的。「鉛筆削り」
 「タイム・マシーン」「ドーナツ化」や「インド屋さん」を読み
 ながら、こんな話を思いつくことができる村上さんのすごさを
 改めて思った。

 どれも非常に面白かったけれど、特に印象に残ったのは
 「シドニーのグリーン・ストリート」の羊男のかわいらしさ、
 「鏡」の中の「自分」に感じるおぞましさ、恐ろしさ、そして、
 「とんがり焼きの盛衰」で感じられる村上さんの自分の作品に対する
 こだわりや「文壇」と呼ばれるものへの想いだ。

 色々な村上さんに会えてお得な一冊だった。
 他の作家さんのシリーズもぜひ読んでみたい。

百年分を一時間で/山本夏彦

2008年06月14日 08時50分53秒 | 読書歴
43.百年分を一時間で/山本夏彦

■内容
 大正四年生まれと平成の才媛の珍問答。時に爆笑、時にまじめ。
 花柳界から世紀末論争、「IT革命」までを語りつくす。
 「誰か『戦前』を知らないか」の続編。

■感想 ☆☆
 おじいさんの昔語りを聞いているような気持ちにさせてくれる一冊。
 毎回、テーマを決めて話を進める山本さんと山本さんの部下にあたる
 女性との対談がコンパクトにまとめられている。テーマを決めては
 いるものの、思い出すままに話を脱線させる山本さんの話は、何に
 ついて語っているのかがわからないくなり、時に読み手を混乱させる
 部分はあるものの、知らなかった「戦前」を身近にしてくれて面白い。

 「お前はそんなことも知らんのか。本当にポンやのう。」
 と言いながら、いろんなことを教えてくれた祖父を思い出しながら
 読み進めた。

 母親が明治19年生まれだという山本さんは、母親から聞いて知って
 いる明治時代の話も鮮やかに語る。そして自分自身の若い頃
 昭和10年代から20年代にかけて、日本が戦争に向かっていた頃の
 話も「楽しかった時代」として話す。読み進めながら久世光彦さんを
 思い出した。彼も戦争に彩られた「あの頃」を「決して嫌なこと
 ばかりではなかった。きちんと生活に笑いがあった。普通の幸せが
 あった。」と著作の中で何度も語っている。山本さんも日本の戦前
 から戦中を「文化的に豊かだった時代」として、話している。

 今はなくなってしまったもの、話ですら聞いたことがなかったもの
 言葉は残っているけれど、中身が変わってしまったもの、それぞれが
 時代を映していて興味深かった。
 ただ、少々まわりくどいため、一時間では読めなかった。

コドモノチカラ

2008年06月12日 23時01分11秒 | 読書歴
42.コドモノチカラ
■内容
 津軽三味線・12歳、気象予報士・15歳、ドラマー・12歳、
 危険物取扱者・10歳。その世界ではかなり凄いコドモたち30人の
 素顔を伝える。あさのあつこ、石田衣良、泉麻人ら8人のオトナによる
 コラムも収録。

■感想 ☆☆☆
 何かに秀でた人を見ると、元気をもらえます。
 それが天性の才能であっても、努力して勝ち得たものであっても
 見ているだけで、こちらも背筋を正される気持ちになります。
 天性の才能であっても、それを活かしている人は、日々、きちんと
 努力ができる人で、だからこそ、芸能人や俳優さんや歌手さんや
 アイドルさんたちは、周囲の人にパワーを与えられるのだと
 思うのです。

 この本にも、そういったパワーを持ったちびっこがたくさん
 掲載されていました。
 「楽しい。だから続ける。続けていたから、力がつく。」
 実にシンプルな法則に本能をゆだねているちびっこくんたちは
 肩肘張らず、無理をせず、自然体で、とてもかわいらしい子達ばかり。
 資格を持っていたり、一芸に秀でていたり、スポーツの才能に
 恵まれていたりする子達なのに、無理をせず、楽しいから続けているだけ
 というスタンスに元気をもらいました。
 面白かったのは、資格を持っている子達が、その資格に縛らることなく
 自分の可能性を色々と考えているところ。スポーツの才能に恵まれて
 いる子達のほとんどがひとつの道を突き進もうと、日々まっすぐと
 努力している子たちばかりで、実に対照的。
 どちらが悪い、とか、どちらがいい、とかではないけれど。

 10年後。
 この本に掲載されているちびっこたちは、どんな大人になるのだろう。
 10年後のこの子達も見たいという気持ちにさせてくれる
 本でした。有名どころでは、フィギュアスケート選手の浅田真央さん、
 女優の志田未来さんが掲載されています。かわいい。