旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

信州・別所温泉「かしわや本店」にて

2020-03-10 | そうだ温泉にいこう!

 柔らかな朝のひかりに包まれて、総檜の吹き抜けの風呂に浸かる。
優しいひのきの香りを独占して至福。早起きはするものだ。心までときほぐされていく。

かしわや本店は、北向観音のとなりに100余年、文人墨客に愛された和の風情の宿。
実際、あらゆる面に行き届いたもてなしは満足度が高く、定宿にしたい湯宿でした。

 食事処「旬季亭」に案内いただく。
先ずは利き酒スタンドで塩田の地酒「月吉野」の純米酒、本醸造、原酒を飲み比べ。
楽しい趣向だね。本醸造 "かくし酒" をいただこう。
先付は季節柄お雛様。お内裏様は "信州和牛ロース"、お雛様に "ホタテ酒盗" が。

造里は "海と川の幸" だって、信州サーモン、岩魚、真鯛が盛られてなるほどね。
一緒に小鉢は "鮎白玉饅頭"、吸い物は "えごま豆腐白味噌仕立て" が供された。
煮物は "筍、鰊、海老、ふき"、なかなか上品な酒肴だ。焼物は "銀ダラ西京焼き" だ。 

蒸し物に "鰻蕪蒸し"、揚げ物に "白魚と芹かき揚" が運ばれて、二本目の酒を択ぶ。
丸子の "明峰㐂久盛" は、淡麗でバナナのような香りの純米酒、コクのある料理に合う。
台の物は "信州和牛朴葉みそ焼"、ジューシーな霜降りをリンゴ味噌に絡めて美味しい。
まったりした口を "龍飛昆布巻" で中和したら、まだまだ吞めそうだ。

お食事は "蛤吸" に "雛寿司"、デザートは "三段菱ムース" って、最後もお雛様にこだわる。
春の到来を感じる信州のご馳走と地酒を堪能して満足の宴。

 日の出の刻に響く北向観音の鐘で起床する。なんたって「観音様となりの宿」だから。
お蔭で総檜吹き抜けの風呂を独占って贅沢をさせていただく。
さて、北向観音堂は名前の通り北を向いてる。善光寺のご本尊と向き合ってるってこと。
現世利益にご利益がある千手観音菩薩(北向観音)を詣でた後、来世にご利益がある
阿弥陀如来(善光寺)を詣でる。これを「両詣り」と云って古来両尊参詣が良いとされる。
当然、この後帰省がてら善光寺を訪ねるのだ。

道化師のソネット / さだまさし 1980