旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

桜のトンネルをくぐって 京福・北野線を完乗!

2020-05-02 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

嵐電北野線は、鳴滝駅から宇多野駅間の区間で「桜のトンネル」という桜並木をくぐる。
御室川を挟んで約200mに80本のソメイヨシノが、春の陽にキラキラと煌めいて、はんなり美しい。

四条大宮から乗った嵐山行きを帷子の辻で降りると、3番線で只1両の北野白梅町行き電車が乗換え客を待つ。
互いにグリーンとクリームが基調の電車を走らせる江ノ電と嵐電は姉妹提携をしている。
でっ「江ノ電号」のヘッドマークを付けた電車が、広隆寺、仁和寺、妙心寺、龍安寺など観光地を結んで走る。

始発から4分後クライマックスがやってくる。
鳴滝駅を出発した電車が勾配にモーターの唸りを上げると、車窓という車窓から桜色が溢れてくる。
「桜のトンネル」は北野線開業時に植樹されたと云うから、樹齢100年になろうとしている。

勾配を上り切った電車が、キーっと音を立てて御室仁和寺駅に停車する。
木造仏閣型?寅さんが降り立ちそうな渋い駅舎を出ると、駅前から仁王門が見える。

ソメイヨシノだろうか、中門から金堂にむかう石畳の参道を満開の桜が彩る。
仁和4年(888年)に創建された真言宗御室派の総本山、門跡寺院であった仁和寺は「旧御室御所」と称される。

東を見上げると五重塔、黒灰色の塔を背景に、桜と御室ツツジのコラボレーションが美しい。

薄く紅紫がかかった花弁は大沢桜?鐘楼の「朱」に挑む艶やかさだ。

「わたしゃお多福 御室の桜 鼻が低ても 人が好く」
京都で一番遅咲きの桜として江戸時代から庶民に親しまれている「御室桜」はちらほらと咲きはじめ。

桜の仁和寺を巡ったら、再びグリーンとクリームの電車に乗って東へむかう。

電車が西大路通りにぶつかると終点の北野白梅町、確か駅舎が建っていたはずだけど今はただの停留所だ。

 北野白梅町のランドマークは天満宮だけど、今日は平安遷都以来この地に鎮座する平野神社を訪ねる。
魁、胡蝶、一葉、寝覚、御衣黄、衣笠が彩りを競い、鳥居や灯篭の「朱」とハーモニーを奏でて美しい。
一度は見たかった満開の「嵐電桜のトンネル」を訪ね、洛西で桜を堪能した北野線の小さな旅なのです。

京福電気鉄道・北野線 帷子の辻~北野白梅町 3.8km 完乗

なのにあなたは京都へゆくの / 渚ゆう子