旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

もうすぐ裸足の季節 伊東線を完乗!

2020-05-23 | 呑み鉄放浪記

 青く輝く美しい伊豆の海と空をイメージさせる「サフィール」は、オールグリーン車の新型車両。
上質・高級で優雅な旅を演出する8両編成が伊東駅にすべりこむ。初夏の青が伊豆の空に広がる。

海から段丘へ這い上がる霧が晴れる時刻になっても、時節柄、熱海サンビーチは閑散としている。

伊東線は熱海で東海道本線から分岐し、伊豆半島東岸を伊東まで抜ける20キロに満たない路線だ。
「踊り子」をはじめ多くの列車は伊東駅以南では伊豆急行線に乗り入れ、下田まで直通運転している。

10:46発の5639Mは臨時のダイヤで伊東止まり。伊豆急行の6両編成は東急から嫁いできたハワイアンブルー。

旅は20分と短いので、熱海ビール「煌」ピルスナーを1本。
ラベルには、夜空いっぱいに咲く花火、ジャカランタ、そして浴衣のお嬢さん。んっ夏が待ち遠しい。
長い不動トンネルを抜けると、車窓に相模湾が、鼻先にはピルスナーの芳香が広がる。

網代、宇佐美の美しい海岸線を左手に、ハワイアンブルーの6両編成はひたすら南下する。

熱海を出て22分、伊東線の旅はあっさりと終了。初夏の陽光の中、先へと延びる鉄路は伊豆急行線だ。

"花と海といで湯の街" 伊東の玄関口は、白亜にオレンジの瓦をのせた南国風。
一方、ロータリーの歓迎看板には黒紋付き振袖姿の半玉さんの艶姿、このアンバランスがなんとも素敵だ。

駅前通りをふらりと、伊東オレンジビーチまで漫ろ歩いてみる。
初夏の日に照らされた伊豆の海は、僅かに電車で20分だけど、熱海のそれより青みを増したようにも思える。

湯の花通り商店街を歩いて「楽味家まるげん」は古民家風の居酒屋、実は昼から飲むことができる。
魚やイカのすり身に野菜を混ぜ、山芋をつなぎに揚げた "ちんちん揚げ" は伊豆のB級グルメ。
「※おじさんが想像しているモノではございません」って、品書きの短冊に注釈がご愛敬だ。

 

"ちんちん揚げ" を肴に、喉ごし端麗な東海道・原宿の酒、"白隠正宗 特別純米" を愉しんで、
まぐろ、まんだい、〆サバなど、海鮮丼の具をつまみに二合目をいただく、美味いね。

帰路の宇佐美駅で185系「踊り子」に出会う。東京と伊豆を結ぶ代名詞的な車両も引退の日は近いらしい。
青く輝く伊豆の海と空、美味い地魚とB級グルメ、淡麗な地酒を愉しんだ久々に「吞み鉄」的休日なのだ。

伊東線 熱海~伊東 16.9km 完乗

裸足の季節 / 松田聖子 1980