旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

もりおか漫ろ歩記「じゃじゃ麺」

2020-10-08 | 旅行記

 開運橋で北上川を渡って、若き日の木が暮らした "もりおか漫ろ歩き"。
中ノ橋の「岩手銀行赤レンガ館」は東京駅を手掛けた建築家辰野金吾の設計。
ルネッサンス風の赤煉瓦造りに緑のドームが秋空に映えて威風堂々としている。

 こちら「紺屋町番屋」は、1891年に建てられた盛岡消防よ組番屋。
寄棟屋根に六角形の望楼を持つ木造様風建築、これもまた美しい。
こうした建物が街中に残っているのは住んでいる人の誇りですね。きっと。

 『不来方( こずかた )の お城の草に 寝ころびて 空に吸はれし 十五の心』
木が詠んだ盛岡城跡公園を訪ねる。

堅牢な石垣が積まれた本丸だが天守閣はない。完成したのが大阪の役の頃であるから、
南部氏が幕府に警戒されるのを避けたとする説が有力だ。

城の東側内堀にあたる鶴ヶ池、夏の夕涼みに訪れたくなるような清涼な雰囲気。

 城の北側には南部氏の開祖や南部藩初代藩主を奉った櫻山神社が鎮座する。
そして、その鳥居前にある盛岡じゃじゃ麺の元祖「白龍(ぱいろん)」が今回の目的地。

もちもちとした食感の平打ち麺と、ひき肉、胡麻、椎茸を混ぜ込んで炒めた味噌を
必死にかき混ぜて、好みで酢・ラー油・にんにくを少量加えて "じゃじゃ麺" 準備完了。
いただきます。

麺を少し残したところで、テーブルの丼に盛られた卵を溶いてカウンターに載せる、
ひと声かけると店員さんがじゃじゃ麺のゆで汁、ねぎ、味噌をかけてくれるのだ。
このスープが "ちいたんたん"、これで〆る。

 腹ごなしに中津川沿いを上流に歩くと、菊の司酒造の白い蔵が見えてくる。
江戸中期から醸す蔵で、"てづくり七福神" の300mlを仕込んだら花輪線を潰します。
開運橋から県のシンボル岩手山(2,038m)の雄姿、これから裾野をぐるり廻るのだ。

Season / 門あさ美 1980