旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

浜名湖とKATANAと開運シュヴァルツと 天浜線を完乗!

2022-09-10 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 エキゾーストノイズをガーター橋を鳴らす轟音に変えて、ミステイックシルバーの “KATANA” が迫ってきた。
9/11はフルーツパーク駅を「KATANA駅」として『KATANA Meeting 2022』を盛り上げる。

新所原駅を降りると香ばしい匂いがどこららともなく漂ってくる。匂いを辿るとまさに私の目的地である
天竜浜名湖鉄道の新所原駅、小さなエキナカのうなぎ店が浜名湖のうなぎを焼いているのだ。

元カレです? 国鉄時代より東海道本線を走っていた懐かしい「湘南カラー」のラッピング車両は、
AKB 48とコラボレーション。新曲のヘッドマークと掲げ、車内は彼女たちのモノクロのフォトで溢れている。

3つ目の知波田を出ると右手に浜名湖が広がる。当然にそれを合図にプルトップを引くのだ。
プシュッとお大袈裟な音が響く、TH2100形はクロスシートを備えて、呑む旅人に優しい車両なのだ。

みかんの産地三ヶ日に降り立つ。三ヶ日をはじめ天浜線内の5つの駅ではレンタサイクルを営業している。
夏の名残を探しに自転車を漕ぎ出す。名残を探すどころかこの日は真夏日、すぐさま汗みどろになるのだ。

スペイン風のオレンジの瓦を載せたリゾートホテルが佇む。パームツリーがゆっくりと揺れている。
まだこんなに暑いのに、湖畔のプールもデッキチェアーもがらんとして、夏の夢のあとだね。

湖畔のcafeでふわとろの “オムライス” が、コクのあるデミグラスソースをかけて美味しい。

諏訪湖から谷を深く抉った急流「暴れ天竜」はこの橋梁を境に表情を変え、流域広くゆったりと遠州灘へ注ぐ。
二俣本町駅近く筏問屋 旧田代家住宅を拝見(土日祝日のみ)できる。流れが変わる故に、信州から下った名木は
この地で筏を組み直し、河口から海を旅して江戸に運ばれたと云う。往時の繁栄と賑わいが想像される。

三ヶ日から乗ったTH9200型は、フィンランドの人気ファブリックMarimekkoで装飾した “Slow Life Train”。
転換クロスシート、北欧イメージした白い木目調の内装にカラフルなカーテンやヘッドカバーに彩られた
落ち着いた車内は、いつまでも揺られていたい気分にさせるね。 

ガッタンと大きな音を響かせて、ラッピング列車 “うなぴっぴごー!” がテーブルごと反時計回りに動き出す。
この際だから「転車台・鉄道歴史館見学ツアー」に参加してみる。貯水槽、転車台、扇形機関庫、もちろん
趣のある天竜二俣駅の駅舎やホーム上屋と併せて、旧く良き蒸気機関車が走っていた時代を想像させる。

彩やかなイエローの “ぶんぶん号” は、愛くるしいミツバチのイラストを描いて、きっと子どもたちに人気だ。

沿線の宮口駅近く、菰樽に花吹雪を散らして花の舞酒造がある。ちゃっかり純米吟醸の300mlを仕込んでおいた。
ボックスシートに一人っきりだから、車窓に流れていく夏を惜しみつつスクリューを切る。いい香りだ。

長閑な田園風景はいつしか住宅街に変わって約50分、イエローのTH2100形は掛川駅で行手を塞がれた。
「ぶんぶん」と「るんるん」に見送られて掛川の町に飛び出す。もちろん早い時間に暖簾を提げる酒場を探して。

“ポテサラ” と “冷やしトマト” を並べ、喉を鳴らして生ビールを呷る。なかなか良いスタートだ。
駅前通りから一本入った「酒楽」は陽の高いうちから呑めるから、すでにご常連さんが賑やかにやっている。

地元掛川の酒 “開運シュヴァルツ” は、スッキリとキレの良い後口の本醸造酒。どんな料理にも合いそうだ。
“中トロ” と “赤身” が無造作に小皿からはみ出して嬉しい。鼻にツンとくるほどワサビをのせて美味いなぁ。

サッと山椒をふって “やきとり” を2本、付け合わせの “キャベツの浅漬け” が泣かせる。これ良いね。
二杯目は “開運 吟醸”、キンと冷やすと旨い瑞々しさとキリッとしたキレの良さが際立つ酒だ。

天浜線掛川駅のとんがり屋根を横目に東海道本線のホーム、これから東京までの4時間がもうひと旅だ。
熱海の乗り換えでハイボール缶かなぁ。まだマスクの中には吟醸の果実香が残っている。

天竜浜名湖鉄道 天浜線 新所原〜掛川 67.7km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
小麦色のマーメイド / 松田聖子 1982