旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

風を感じて! September

2022-09-24 | 単車でGO!

 長坂ICから北杜八ヶ岳高原線を駆け上って山梨県立まきば公園、牛さんたちが長閑に草を食んでいる。
どうもボクと八ヶ岳の相性は悪いらしい、こんなに晴れているのに雄大な峰々は雲の中だ。

裾野を削る深い川俣川渓谷にかかる赤い橋を渡る。ポールラッシュ通りに入るとご存じ清泉寮。
ファームショップでカップルに混じってソフトクリームを試す。練乳のような濃ぉい甘さが堪らない。

JR甲斐小泉駅まで下ってきた。苔むした岩の間から清らかな水が湧くというよりまさに溢れ出している。
1日に8,500tも湧出するという八ヶ岳南麓高原湧水群の一つ「三分一湧水」の名称は、武田信玄が湧出口に
三角石柱を立てて水を3等分して流し、村々の水争いを治めたという伝承からだと云う。

湧水の近くには「そば処 三分一」がある。少々並んでもうまい蕎麦が食べたい。
“十割そば” の天盛りを択ぶ、香こそそこそこだけどコシが強くて喉ごしの良い蕎麦はなかなかの美味だ。

足が竦むような八ヶ岳高原大橋を越えて清里へ、さらに緩やかな勾配を登り切るとそこは甲信国境、
折よく高原列車が登ってきた。蒸気機関車が喘いだ急坂もディーゼルカーは軽快に駆け抜けていく。

カランカランっと、高原の乾いた空気に鐘の音が響いてきた。
標高1,357mは日本の鉄道最高地点、巨大なモニュメントに提がる「幸せの鐘」を恋人たちが鳴らしている。

野辺山宇宙電波観測所を訪ねる。直径45メートルの電波望遠鏡が仰ぐ天は、どこまでも蒼くそして高い。
エキゾーストを響かせて高原をゆく。夏の日差しが弱まるようにSeptember、季節は確かに秋に変わった。

SEPTEMBER / 宮本浩次