太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

おいなりさん

2013-02-12 17:20:40 | 日記
日本語の生徒が帰ってすぐに、玄関のベルが鳴った。

ドアをあけると、2件隣に住むヘレンがニコニコと笑っていた。
ヘレンは日本人を母にもち、父はマウイ島出身、沖縄生まれのハワイ育ちという、ハワイではよくある複雑な経歴の持主だ。
私が移住してきた時に、たぶん日本人だと思うからと言って、夫の母が私の手を引いて彼女を紹介してくれて以来、道で会うたび挨拶をするようになった。


そのヘレンが、可愛いハンカチに包まれた箱のようなものを私に差し出した。

「なあに?」

「おいなり!私が作ったの」

「すごい!ありがとう」

「元気ですか?大丈夫?」

「元気だよ、どうして?」

「この前、見かけた時に、悲しそうな顔に見えたから少し気になった」

私は今、結構キツイかも、というところにいるのは確かで、
でも開き直って吹っ切ろうとしていて、
それは成功しているはずだった。

ヘレンには私の心の中が見えたのだろうか。

てづくりのおいなりさんが8個、行儀よく並んでいた。
紙切れに電話番号と、日本語の名前が、たどたどしい平仮名で丁寧に書かれていた。

熱いものがこみ上げてきて、目の奥がジンとした。

人の優しさが心に染みる。

おいなりさんは、ほうばると少し涙が出て来た。

2つ食べたらお腹と胸が一杯になった。



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