太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

傷心

2013-05-10 07:00:41 | 日記
職場の同僚のKが

「昨日、Cに、彼と別れてしまったと打ち明けられてしまった」

と言う。

KもCも男である。

Cがゲイなのは知っていたが、まさかKもそうなのでは?と、私の目が語っていたのか

Kはあわてて

「違います、違います」

と顔の前で手を左右に振った。

「ぼくの耳元でいきなりそう言われたので、なにか誤解されているんじゃないかと不安になったんです」


ああそうか、そういうことか。


CはK以外の人には、失恋のことを話していないが、

恐れおののいたKがしゃべりまくるので、みんなの知るところとなった。


あかるく振舞っているCが

本を書棚におさめているときに、まあるい背中をさらに丸めて深いため息をついているのを見たりすると

なんだか気の毒になる。

K以外の人は知らないことになっているから、声をかけることもできない。


そのCが、近々ちょっとした手術を受けることになった。


「悪いところと一緒に、思い出も切り取れたらいいのに」


彼の風貌からは想像できないような詩的な言葉・・・・

だけどわかる、わかるよ、その気持ち。

私だってそうだったもん。

でもね、切り取れないからこそ、次に行ける、てこともあるんだから。


Cがかわいそうに思った私はKに

「彼は恋愛感情じゃなくて友情を感じているだけだろうから、

一緒にご飯でも食べてあげなよ」

と言うと、Kは目をむいて

「それが友情だって保障はどこにあるんです?シロさんがそう思ってるだけでしょ?」

「そうだけどさ、Cはマッチョがタイプで、あなたは細いじゃない」

「うーん」

「ああでも、次の恋愛って、失恋とか恋愛の相談から始まる確率が高いんだよねえ」

「そんな・・・」

「とはいえ大人なんだし、嫌なことは断ればいいんだから」

するとKは深刻な顔で言った。


「僕は普通に女の人が好きだけど、ひょんなことで、まんがいち、

自分の中にあるかもしれないそういう感情に火がついてしまったらどーすんですか」


ああ。そういうこと?


え、でもそういうもの?



そうはいっても、売り場の隅でぼんやりしているCを見ると、

イチかバチかやってみればいいじゃん、とはなはだ無責任に思うのである。






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