太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

災難中の奇跡

2013-05-30 20:58:32 | 不思議なはなし
汲み取り式トイレに落ちかけたときから、私のトイレにまつわる災難が始まったことは

以前に書いた(コチラ参照

今日はその中で体験した奇跡のお話をしよう。


たぶん小学3年かそこらだったと思う。

バスに乗って遠足に行った、その帰り。

私は突然トイレに行きたくなったのだが、手をあげてそれを言う勇気がなかった。

トイレ休憩をしたばかりで、当分どこにも止まりそうにない。

学校につくまで我慢するしかなかった。

最初は余裕だったが、そのうちに波が押し寄せては引いてゆくその間隔が

せまくなってきた。

隣の席の子とおしゃべりをして紛らわせていられる段階は過ぎた。

私は自分の殻に閉じこもり、

おなかの中でしりとりをしたり、歌を歌ってみたりした。

波が押し寄せてくると、もうダメかも、と思う。

でも波が引くと、まだいけるかも、と思う。

嫌な汗がでてくる。

「もしダメだったら・・・」

その想像は恐ろしすぎた。

おもらしをした子として、卒業するまで陰口を言われ続けるに違いない。


今ここで、トイレに行きたいと宣言するのと、

おもらしをして汚名を残すのと、どちらが恥ずかしいかという選択を迫られるわけだが、

学校まで我慢できれば、そのどちらも選ばなくていいのだ。

私は、どちらの恥ずかしさも選べずに、我慢できるほうに一縷の望みをかけた。



隣の席の子は、急に黙り込んだ私を妙に思っただろう。

波は相変わらず押し寄せては返し、

「かみさま ほとけさま、ご先祖さま!」

祈れるものには何でも祈った。



しかし、それは私の許可なしにやってきた。

私の身体が、勝手に判断し、膀胱が一気に緩んだ。

何が起きているかわかっていながら、

今起きていることを止めることはできないことを私は承知していた。

そうなってしまうと、もう我慢しなくていいんだという幸せさえ感じた。


幸せも束の間。

ことが済んでしまったあと、どうするか。

私はとりあえず被害状況を把握しようと、おそるおそるジーパンのお尻に手を当ててみた。

「????」


濡れてない。


私は腰を浮かして、両手で股やお尻を確認したが、まったく濡れていないのだ。


「そんなバカな・・・」


内股にあたたかいものが広がってゆく、あの感覚は確かにあった。

何よりの証拠に、今、膀胱は空っぽだ。

狐につままれたような感じですわり直そうとして、ジーパンの後ろのポケットに固いものが入っているのに気づいた。

それは、出掛けに祖母がくれたお守りだった。


取り出して、眺めた。

黒い塩化ビニールの入れ物に入った、何の変哲もないお守りだ。


このお守りが私を守ってくれたんだろか?

やけ気味の私の祈りを、誰かが聞き届けてくれたとか。

真相は今でもわからない。

ただ確かなのは、私は我慢できなかったことと、

それなのに服もバスの座席も乾いたままだったということだけだ。







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