妄想

乳飲み子がいる夢をみた。

オムツの扱いもよくわからなくて、まごまごしながら何とか

私がその子供のオムツを代えていると、子供が若干眉にシワを寄せて言うのだ。



「Did you change my diaper before?」
（僕のオムツ、前に代えてくれたっけ？）



赤ちゃんがしゃべるわけがないから、夢の中で私と夫は顔を見合わせている。





折にふれ、もし私たちに子供が生まれていたらどんなふうだっただろう？という

単純な好奇心がわいて来る。


ビーチで母親と遊ぶ１歳ぐらいの男の子の、形のいい後頭部に渦巻くやわらかそうな栗毛とか、

ハーフの子供のお人形のような瞳などを見ると、

私の人生に起きなかったことへの妄想が膨らんでゆく。

妄想はとどまるところを知らず美化してゆき、

両親のことなど棚の上のほうに追いやって、

いつのまにか素直で賢く才能にあふれ、すわ！子役スターか！！という非の打ち所のない子供になっている。



そこへもってきて、


「Did you change my diaper before?」
（僕のオムツ、前に代えてくれたっけ？）

である。

妄想が一気にしぼんだのはいうまでもない。







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