太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

親ごころ

2014-07-03 11:58:17 | 日記
最近、ハワイで「そろばん」が人気らしい。

けんだまに続いてそろばんの時代が復活か?


先週あたりに、新聞の1面でとりあげられていたのは、

日本人の男性が、そろばん塾を開いていて、それが人気だという記事。



日本語クラスのときに、生徒(8歳・女子)が

「ねえ、そろばんの記事、読んだ?」

「読んだよ、なんで?」

「わたし、今、1番恐れていることがあるんだけど、何かわかる?」

「はは~ん、そろばん塾に行かされるんじゃないかってことでしょ」

すると生徒は頭を抱えた。

「そうそう、そう、そうなんだよーー・・・・・・。

ママがどうかサインアップしませんようにって、寝るときに神様に頼んでるの」


「それを頼むなら神様じゃなくてママにすればいいのに」


「ママに頼んでやめてくれるぐらいなら神様に頼まないよ。

目に浮かぶ気がする。『ハイ、私、ステファニーといいますけど、うちの娘を入れてもらえません?』」



生徒はシナを作ってママの口真似をした。

「そろばんやると計算機を使わなくて済むよ」

「一生、計算機使ってもいいもん」



帰り際、母親のステファニーに聞いてみた。


「そろばん、やらせる気?」

「そうよ、今日、塾に電話したもの」


生徒が後部座席で死んだふりをしている。



「本人はやりたくなくて神様にお願いしてるみたいだよ」


するとステファニーは不敵な笑みを浮かべた。


「ふふふ。子供が何と言おうと関係ないわよ。やらせたかったら、やらせる、それだけよ」



私が日本語を教えるのを辞めたあと、引き継いで教えてくれる人を見つけたというから、

日本語に合気道、公文にそろばん、子供は忙しい。


まだ死んだふりをしている生徒に言った。


「大変だけど、ちゃんとやったら大人になってママに感謝すると思うよ」


「今、感謝したい・・・・・」


死んだふりのまま、つぶやいた。



私も子供の頃、楽しく習い事や塾に行った覚えはあまりない。

私の母は、それほど教育ママではなかったから、習い事といったってピアノと習字ぐらいのもので

それでも、練習が嫌だったり、行くのが嫌だった。

そういえば幼稚園のときに、少しだけ「こども英語教室」に行ったこともあった。

母親と一緒に参加するもので、私が覚えているのは、教科書にしていた本の絵がきれいだったのと

生まれて初めて食べた「ピザ」の美味しさだけだ。



もっと成長してからは、「今しっかり勉強しておくと、大人になってからラクだよ」

と言われたものだけれど、

果たして大人になった今、あの頃もっと勉強しておけばよかった、と後悔する場面はいまだない。



でも、もっと真面目にピアノを長く続けていたら、ぽろぽろっと素敵に弾けるようになったのに、とは思う。

楽譜は読めても、美しく優雅に弾けない。

今、家にあるピアノで「月光」を弾いてみても、途切れ途切れで、月光だかなんだかわからない。

パーティのときに、夫の友人が即興でいろんな曲を弾いてくれるのをみて

そのときだけは、勉強を理由にピアノを辞めた自分を恨めしく思う。(かといって勉強もしなかったからね)




子供にほんとうに何が必要なのかは誰にもわからないけれど、

大人になって何かを選ぶときに、選択肢が増えたらいい、と親は思う。

そしてその親の思いは、代々、ずっと子供には理解されないものなのだろう。





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