真面目か小心者か

車を運転していて、右折したいとき（日本だと左折）、右折専用レーンの列に付く。

ラッシュの時間だと、けっこう長い列ができる。

曲がりたい交差点までには信号もあって、進んでは止まり、止まっては進む。

そんな列を横目に、隣のレーンを快適に走りながら、

交差点の手前あたりで、スイッと列に割り込んで、さっさと曲がる車がある。



そのたびに、

「ああいう車がいるから、よけいに混むんじゃないか！」

と一人憤慨する。



片側２車線で、車線が先のほうで１車線になるのがわかっている道で

（工事中の標識があったり、車線がなくなる標識があるから）

ぎりぎりまで隣の車線を勢い良く飛ばし、これまた調子よく本線に割り込む車がある。



そのたびに

「ちょっとずうずうしいんじゃないの！」

と、列の後ろのほうで憤慨する。



それなら自分もそうすればいいのにと思うのだけれど、

どうしてもそういうことができない。

私は真面目なのか小心者なのか、と思うのはこんなときだ。



毎日、そんな場面はあって、

そのたびに憤慨していては、心と美容によくないので、

「あの人は旅行者で道を知らないんだ」

とか

「ものすごくトイレに行きたくて急いでいるんだ」

とか

「のっぴきならない用事があるに違いない」

などと思うようにしている。



そしてそうやって、私の前に割り込んだ車が

窓を降ろして、手でお礼の合図をしたり、ルームミラーの真下に手をあげて

サインをくれたりすると、怒りもおさまるのだが、

当然のような顔をして合図もしないでいると、怒りの火蓋がポッと熱くなる。


こりゃ単に心が狭いだけか、とも思う。




ちなみに、日本にいた時は、割り込ませてもらったりすると

ハザードランプを点滅させる、という車が多かったので私も夫もそうしていた。

「あれはいい合図だったのに」

と言って、夫がそれをハワイで広めるべく、ハザードランプ点滅を実行しているのであるが

なぜだか、それをやるのはスクールバスと市バスだけ。


ハワイで、お礼をハザード点滅させている自家用車を見かけたら、

たぶんそれは私の夫であろう。





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