太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

フランス 10 ~パリジェンヌのウエスト

2022-06-24 08:40:12 | 旅行




最終日の日曜は、二日間さんざん歩き倒したことだし、のんびり過ごした。
ハワイに戻るのにPCR検査を受ける必要があって、日曜日にもあいているファーマシーを確認してあったのだが、私たちが戻る月曜日から、その制度が廃止になり、検査を受けなくてもよくなった。ラッキー!
こういう情報は、常に情報をチェックしているシュートメから送られてくる。
そういうことには疎い私たちだけだったら、知らずに検査を受けていた。

最後の夕食は、ホテルから徒歩で行ける距離にあるレストラン。
ここが大当たり。
オニオングラタンスープとサラダ

子牛のステーキ

フランボワーズタルトとカプチーノ

こういう洋食系よりも和食がいいと思う私でも、ここの食事は大満足。
1時間かけてゆっくり最後のパリを楽しんだ。


パリジェンヌはオシャレだというのは、よくあるマスコミが作り出すイリュージョンではないかと思っていた。
しかし、実際、ほんとうにオシャレな人がたくさんいた。それぞれが、自分に似合うものをよく知っていて、流行りのファッションというのではなさそう。
歩きやすそうな、でもスタイリッシュな靴に、細身のジーンズ、シンプルな白い七分袖シャツに、たっぷりめの麻のスカーフ。
カフェの通りに面した椅子に座りながら、通り過ぎる人達のファッションを見るのが楽しい。

私がファッションとともに注目したのは、彼女たちのウエストの細さ
全体に、フランスには肥満体の人が少ないのではないかと思う。特に若い女性たちのスレンダーなこと。
私が日本に住んでいたら、それほどには思わなかったかもしれないが、ハワイでボリュームたっぷりな人々を毎日見慣れている目には新鮮だった。
ハワイにはサモアの血を引く人も多く、彼らは細くなれない細胞を持っているから仕方がないにしても、お腹まわりに「マフィントップ」とか「ラブ ハンドル」と呼ばれる脂肪がたっぷりとついている人がたくさんいる。
それでも、アメリカ本土から来る人達に比べたら、ハワイの人は肥満ではないかもしれない。
本土の人達の中には、空気で膨らませたような超肥満の人を見かける。
アメリカ人は太っている、という結論か。


とにかく、パリジェンヌのシュッとした細いウエストを、私は感動をもって眺めた。
細長い紙袋から、バゲットをはみ出させたのを抱えて歩く図は、パリのよくある図柄だけれど、これも本当にそうやって歩いている人がけっこういる。
TGVの中で、25センチはあろうかという長いバゲットのサンドウィッチをぺろりと平らげていたのは、かなりスリムな男性だった。
彼らはあんなにパンを食べていて、どうして太らないのか。


朝、カフェに行くと、初老の男性が、通りに面したテーブルに座って、エスプレッソを飲みながら新聞を読んでいる。
そこに連れがやって来て、合流する。何も頼まなくても、ウェイトレスがコーヒーとパンを運んでくる。
彼らは常連で、毎日同じテーブルで新聞を読み、煙草を吸い、おしゃべりをするのだろう。
通りかかった知り合いらしき男性が、また合流する。
パリの人々の生活の、ほんの一場面を見た気がした。
1世紀以上もたつ古いアパルトマンに住むって、どんなだろう。
それは私にとって、映画でしか見たことがないような別世界だ。

「ここに、住んでいるんですよね?」

と、旅行者に言われることがある。
彼らにとってハワイはリゾートであり、生活するということに実感が湧かないのだと思う。
それとまったく同じことを、フランスで私は思うのだ。

これは保存された遺物ではなく、実際に住んでいる人がおり、赤いゼラニュームが揺れる窓から、ラジオの小さな音が聞こえてくる。
パリでバゲットを抱え、小さな犬を連れて歩いている人は、古いアパルトマンに戻り、朝食を作り、窓辺の花に水を遣ったりするのだろう。

私が憧れる非日常は、誰かの日常であり、私の日常は、誰かの非日常なのだという当たり前のことに改めて気づく。
毎日、何百人という旅行者を相手にしていて、「旅行者になりたい!!」という私の悲痛な願いは、ほぼ3年ぶりに叶えられた。