太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

言えばよかった

2022-08-09 07:49:36 | 日記
ホノルルに行った時、コピー屋が入っているビルのエレベーターに乗った。
6基あるエレベーターの一つが開いて、女の人が乗り込むところだったので私も後に続いた。
1基に二人なら、許容範囲だろうと思ったのだ。
女の人が5階を押し、私が腕を伸ばして2階を押したら、

「ちょっと!そっち側にも階数ボタンがあるんだけどッ?」

と、私をなじるように言った。
乗り込むときから、大きな荷物を抱えて不機嫌そうだった。見たら確かにこちら側にも階数ボタンがあった。

「オー、アイム ソー――リーー(あら、ごめんなさぁーーーい)」

カチンときたけど、わざとらしく明るく言ったら、

「もっとそっちの角に寄って離れてくれない?」

と、さらに眉間にシワを寄せて、きつい口調で言う。

「アーイム ソー―おおおリイ~♪」

私は距離を取りながら、わざとテンポをつけて謝り、降りるときに

「You have a  Wonderful day♪♪♪」

ワンダフルを強調しつつ、歌うように言ったが、もちろんこちらも見ずにブスっとしたままだ。
私は悪意を感じる相手に対しては、嫌味なほど明るくふるまってしまうことがある。
私としては「あんたの悪意はこっちに届いてないよーだ」という嫌味のつもり。
しかし、エレベーターを降りた瞬間、その人がマスクをしていなかったことを思い出し、

「Why don't you wear a mask?(それじゃマスクすりゃぁいいのに)」

って言ってやればよかった、と地団太を踏んだ。
今すぐその人が降りる5階に行って、言ってやりたい気持ちに駆られた。

「そんな感染が心配なら手袋もすれば?」

そう付け加えて言ってやったら、どんなにスッキリしたか。
頭の回転の速さに問題があるばかりに、私にはこんな「言えばよかった」ということがたくさんある。(そんな過去記事はコチラ

けれど、過去に夫が言ったように、

言えばよかったと思うことのほうが、言わなきゃよかったと思うよりずっといいんじゃないの

というのは真実だとは思う。
ネガティブにネガティブを返したら、それは増幅するだけで、その時はスッキリした気がするかもしれないが、受け取ってしまったネガティブは私の中でグレーのシミを作るだろう。
たとえ嫌味を込めてでも、やんわりとその人にネガティブを戻したほうがいい。
そうは思うけれど、会心の一撃をバーンと食らわせてやればよかった、と、まだ心のどこかでネチネチ思っている小さい私なのである。