職場の同僚には、夏休みだけ働いている十代のティーンエージャーもいる。
そのうちの一人のBが、
「ところでほんとは何歳?」
と聞いた。
ほんとも何も、私は年齢のことを話した覚えはないのだけど。
そこで私は誰かに年齢を聞いた時に、1番嫌がられることを言ってみた。
「どう思う?」
Bはジッと考えてから
「30代、だよね?」
と言った。
「え?」
「30代だよね?」
「え?今なんて?」
「30代だよね??」
「え?」
それを見ていた他の同僚が
「何度も言わせたいだけだって。まったくめんどくさいねー」
と笑った。
そのとおり。
わかってる。十代の頃なんて、20代以上はみんな同じに思えたもんよ。ていうか、年上の人の年齢なんかどうだってよかった。
母親の年齢より上なら、一括りでおばあさんだったし。
だから若者に年齢を当てさせるのは完全なる反則ワザ。
ある程度世間ズレしてくると、たとえ40歳ぐらいだと思っていても、5歳ぐらい割引いて「35歳?」と言う処世術が身についてくるものだけど、
若い子は案外そういうところがないのも初々しい。
引き続きB。
「40代?」
「ノー」
「えー・・・20代?・・・・とか?」
なんで50代に行かずに戻る。
Bの母親は41歳というから、まさかおばあちゃんの年齢に近いとは思いもよらないのだろう。
年齢を白状すると、Bはのけぞって驚いた。
「ええーーーー!ウソでしょう。信じられない!肌だって若いし。
うちのおばあちゃんなんか、腕も顔もシワシワだよ」
「え?今なんて?聞こえなかった」
「ちょっとー、また何度も言わせる気だね」
おばあちゃんと比較されたとこは、まあ、置いといて(置いとくな、そこ)。
韓国秘伝のパックを続けているのと、アジア人であるのと、煙草を吸わないのとで肌は年齢の割には比較的マシなのではと思う。
言ってほしいことは何度も聞きたい。それは全人類の素朴な願望ではなかろうか。