太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

10倍の価値?

2013-02-21 14:30:41 | 日記



先日、日本から遊びに来てくれた親友が、彼女が初めて買ったリーディングメガネを置いていってくれた。

私は日本にいたときに100円ショップで買ったメガネを持っていて、便利に使っていたのだったが、

彼女のメガネを掛けてみたら、視界の鮮明さに驚いた。

私があまりに、見える見える!と騒いでいるのを見て憐れに思い、

「これ、置いてこうか?」

と申し出たのだろう。


ただもらうだけじゃ悪いので、私のメガネを彼女にあげた(おいおい)


そのメガネは雑貨屋で買った安物だと言ったが、1000円以上するという。

100円と1000円の違いか・・・・

やっぱり100円はそれなりなのか・・・・


おかげで夜の読書がはかどることといったらない。



ともかく親友に感謝。








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木曽御嶽にアホ3人 ~4~

2013-02-20 18:12:40 | 日記
木曽御嶽にアホ3人 ~1~

木曽御嶽にアホ3人 ~2~

木曽御嶽にアホ3人 ~3~




「今日から一緒に働いてくれるカネマツくんです」

大女将さんの横でヌボーッと立っていたのは、おっさん臭い全く冴えないオトコだった。

「よろしくお願いします」

と私達が挨拶しても、ニヤニヤと薄ら笑いをしているだけ。


ハンサムとか、感じがいいといった表現から1億光年も離れているくせして、
あの態度はなんだ、けしからん!と私達は憤慨した。

しかも、本来なら私達と同じで昨日来るはずだったという。
1日も遅刻じゃないか。


私達はカネマツとはあまりかかわらないようにしようと決めたのだが、
カネマツがやたらと私達に突っかかってくる。

嫌味を言うかと思えば、関係ないことをしつこくアレコレ聞いてくる。
基本的に外周りのヒョロリの手伝いをするのだが、私達の仕事をやりたがる。
気がつけば近くに来て、うろうろする。


適当にあしらったり無視したりしていたけれど、ある晩、私達の部屋までやってきた。


寝るんだから自分の部屋に戻りなさいよ、と私達が言っても
カネマツは部屋の入口に座りこんで、聞きもしないガールフレンドの話を始めた。


イライラした私達が
「アンタに彼女なんかいるわけないでしょ」
と言うと、カチンときたらしいカネマツが言った。


「オンナなんかチョロいぜ。腹ふくらましちまえばこっちのもんさ」



これには私達も寒気がした。

「変!アンタ変だよ!キモすぎ!」


3人でカネマツを追い出して、よく眠れないまま朝になり、私達は大女将さんに、腹ふくらませ事件を訴えた。


私達はアホ学生だが、一応若い未婚女性。大女将さんも心配になったのだろう。

それから2日後、

「突然ですが、カネマツくんは急用で帰ることになりました」

と大女将さんが、来た時と同じようにカネマツを隣に立たせて言った。
カネマツはふてくされた態度で、あらぬ方を睨んでいた。


「サヨナラー、彼女によろしくねー」

と言うHの肘を、Kが突ついた。

カネマツは去り、平和が戻った。





平和は戻ったが、鯉は続く。


そう、鯉なのだ。
ココの名物は鯉料理で、旦那さんが毎日豪快に鯉をさばく。
それを毎日夕食にタップリと出してくれるのだ。

生まれて初めて食べた鯉は、少し生臭さがあるけれど、まずくはなかった。
しかし、毎日食べたいものでもない。

「都会の人達には珍しいでしょー、ほらほらたくさん食べていって」

まるで親戚のおばさんのような大女将さんの人柄に、鯉を残すこともできず、
しまいには飲み込むようにして涙目で食べた。
一生に食べる鯉を、あの10日間で食べたと思う。




こうして、濃い10日間は過ぎた。


帰りは大旦那さんと大女将さんがバス停まで送ってくれた。

「あなた達みたいな娘さんが、うちに嫁に来てくれないかしらねー」

大女将さんはほがらかにそう言って笑ったが、目は笑っていなかった。
大旦那さんは、フムフムという感じでうなづいていた。

私達は盛大に笑ってごまかして、アルバイト代を押し頂き、バスに飛び乗った。


「北海道に行く前に疲れちゃったねぇ」

心なしか言葉も少なく、相変わらず暑苦しいアブラセミの声が降る中を、私達は
バスに揺られていった。


その翌年、御嶽山にいくつかスキー場ができた。
あの辺りも随分と変わったことだろう。

今だに私は、泳いでいる鯉を見ると「う…」となる。

確かめたことはないが、あとの二人も同じに違いない。



(木曽御嶽にアホ3人 終わり)


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木曽御嶽にアホ3人 ~3~

2013-02-19 15:52:35 | 日記
木曽御嶽にアホ3人 ~1~

木曽御嶽にアホ3人 ~2~





私達の仕事は、掃除、配膳、布団を片づけること。

到着したその日は、旅館の人達に自己紹介し、大広間に配膳をする手伝いをしただけで
お風呂をもらい、調理場の隅にあるテーブルで夕食を食べた。
「明日から朝は早いから、今夜はもう寝ていいからね」
大女将さんにそう言われて、私達は部屋に戻った。

さて、この旅館には大旦那さんと大女将さん、二人の息子である旦那さんがいる。
旦那さんはまだ独身なので、女将さんと呼ぶ人はまだいないのである。
調理場は大旦那さんと旦那さんが仕切り、調理の手伝いをするおばさんが一人、
布団を敷く頃になるとどこからか現れる、木の枝のようにヒョロリとして背の高い男性がいた。

翌朝は4痔半起床。しかし起きられるか心配する必要はなかった。

ごオーー~ーン!!

というドラの大音響で飛び起きた。

泊まり客がいるのに、こんなドラを鳴らしていいのだろうか?
慌てて身支度を整え、調理場に向かっていると、
今度はカンカン、チンドンと鐘に合わせて、大勢の人の声が聞こえてくる。
声のする部屋を覗いてみて驚いた。

全身白装束の集団が、正座をして念仏を唱えていた。
それは何か見てはいけない儀式を見てしまったようでドキドキした。



後からわかったことだが、

御嶽山は富士山に並ぶ霊山で、頂上に御嶽神社奥社があり、
御嶽教の信者の方達が集団で登拝する。
つまりこの旅館は、そういう方達のための宿だったのである。

そんなことも何も知らず、温泉だピンポンだと騒いでいた私達はやっぱりアホだ。

白装束の集団は、ほぼ毎日のようにやって来た。
御嶽教ではこの時期に大事な意味があるのかもしれない。

念仏の間に布団を片づけ、朝食の配膳をしなくてはならない。
ヒョロリが「あーらよっと、ござんせんか」と妙なかけ声をかけながら布団をあげてゆく。
私達は遅れないようにシーツをはいでいく。

調理場では大女将さんとおばさんがてんてこ舞い。
白装束集団を無事に送り出すと、私達は空腹と疲れで倒れる寸前だった。
朝食を食べると、掃除をして、あとは夕方まで自由時間。
旅館の人達も、働いている人達も気さくだし、
巨大蛾は気持ち悪いけど、10日間なんとかやれそうだね、と3人で麦茶を飲みながら話していたところに、
アイツがやって来たのだった。

(続く)


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木曽御嶽にアホ3人 ~2~

2013-02-18 07:52:57 | 日記
木曽御嶽にアホ3人 ~1~




不動産屋の広告じゃあるまいし、徒歩10分なんてのは嘘で、たっぷり20分は歩いた。

最初は涼しかった山の空気だったが、荷物を持って歩くうちに汗だくになった。
行けども旅館街の代わりに、生い茂る草木ばかり。
「疲れたよぅ、休みたいよぅ」
と弱音を吐くうちに、ボーッと建物がかすんで見えた。
「あー、幻までみえる…」

するとその幻の建物から誰かが出てきた。
「あれあれ、迎えにも行けずに悪かったねえ」

2階建てのその旅館は、そう新しくはないが、きれいに手を入れてあって清潔だった。
私達は踏むと音が鳴る廊下を案内されて、私達が寝起きする部屋に通された。
そこは薄暗い北向きの8畳程の部屋で、2方向に窓があり、古い布団の匂いがした。
旅館の人が出て行ってしまうと、窓をあけて空気を入れ替えようと、窓に手をかけた友人Hが

「ぎゃっ!」

と叫んで後ずさった。
「蛾がいる!」
「んもう、東京もんはこれだからね。蛾ぐらいいるだろうさ」
と言いつつ、新潟出身のKが窓に近寄り、
「ぎえっ!」
と尻もちをついた。

窓のガラスというガラスに、掌サイズの蛾が、みっしりと止まっていた。
北向きだからというより、蛾のせいで薄暗いのだ。
幸い、蛾は外側にいた。

山に住む虫はなぜだか巨大だ。
高校の時、合宿先のトイレに、10センチはあるバッタもどきがいで
怖くて用が足せなかったと私が言えば、
バッタは悪さをしないが、山のアリは何でも食いちぎる、と誰かかが言い、
しばし巨大虫の話題で盛り上がったあと、ふと蛾の密集する窓を見やって無口になった。


とんでもない所に来たかもしれない。


アホ3人も、ようやく自分達の浮かれ具合を後悔しつつあった。


(続く)


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木曽御嶽にアホ3人

2013-02-17 15:51:09 | 日記
私の人生2回目のアルバイトは、19歳の時だ。

美大の友達4人で夏休みに北海道へ行くことになり、その資金を調達するためだった。
大学の学生課の掲示板でアルバイトを物色したら、
欲しい金額と日程が合うのが木曽御嶽の旅館だったという理由で、軽い気持ちで申し込んだ。
7月の暑い朝、
1人は都合がつかなかったので、3人で旅行にでも行くつもりでワイワイと電車に乗り込んだのだった。

「時間があいたらさ、旅館街を散歩しようよ」
「射的とかピンポンとかあるかなあ」
「温泉あるよね、山だもの」
「温泉入り放題で、肌ピッカピカじゃーん」

悲しいぐらいのアホさ加減である。
誰一人として、木曽御嶽のことを調べてきやしない。

アホ3人が降り立った所は、こじんまりとした駅。
そこからバスに乗って旅館を目指す。
「なんかさー、途中下車の路線バスの旅みたぁい」
まだまだはしゃいでいたアホ3人だったが、
バスは容赦無く山道を上り続け、旅館街どころか建物すら見当たらない山の中で止まった。

バスを降りると、むせかえるような山の湿った空気と、聞こえるのは暑苦しいアブラセミの合唱だけ。
人の姿もなく、3人はしばらく呆然とした。

「ここで…いいんだよね?」

カバンから案内の紙を出して確認するが、
そこは間違いなく、目指す旅館があるバス停だ。

「歩いて10分だってさ」
「建物なんにもないけど」
「どこか道を曲がると旅館街なんじゃない?」
「秘境の隠れ家的なってヤツ?」

湧き上がる不安を騙し騙し、3人は歩き出したのだった。


(続く)


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