高峰秀子さんと夫の松山善三さんとの静かな生活に寄り添ってきた、ライター斎藤明美さんが著した高峰秀子さんの日々です。
目次の・・・
動じない、求めない、期待しない、振り返らない、迷わない、甘えない、変わらない、・・・、怠らない・・・、媚びない、驕らない、こだわらない、
・・・で、高峰さんがどんな日常の中にいるか想像がつきます。
そして今、その生活は穏やかで、80歳代後半になってもなお知的好奇心が尽きない日々です。
高峰さんは5歳で子役デビューして、55歳で女優を引退するまで、ほとんど学校教育を受けていません。
というより、学校に行かせてもらえなかったのです。
実の叔母にあたる養母とその一族の生活の面倒を見続けました。
ご自分は学校に行けなかったのに、養母が地元から呼んだ親類縁者の子どもたちの学費を出しました。
収入のすべてをしぼりとられたといっていいほどなのに、人を憎んで自分自身の品格をおとしめるようなことはしません。
実に潔い人です。
筆者、斎藤明美さんの取材力、構成力、表現力の高さと相まって、高峰さんの生き方が輝いて見えます。
ところどころに若いころの高峰さんや夫の松山さんとの写真が組み込まれているのですが、結婚6年目のご夫婦のほほえましさったらありません。
他人の人生の真似はしたくはありませんが、老いるほどシンプルに周りの余分な物をそぎ落としていく、大いに見習いたい高峰さんの暮らし方です。