市川團十郎さんが白血病を発症したのは、先日、盛大な結婚披露宴を挙げた息子、市川海老蔵さんの海老蔵襲名公演の真っ只中でした。
平成16(2004)年5月のことです。
この時は抗がん剤治療で寛解。
しかし平成17(2005)年、再発します。
この時は自家末梢血移植を施しましたが完治に至らず、最終的にHLA型が合った実妹の骨髄液から採取した同種造血幹細胞移植を受けることになります。
平成20(2008)年7月3回目の入院生活です。
ご自身は白血病治療のフルコースを体験したと、明るめに表現していますが、治療はそう簡単なものではなく、特に自家移植の治療の際は無間地獄をさまようような辛さだったそうなのです。
團十郎さんはこの闘病生活の合い間にも海外公演をパリで2回、モナコで1回こなしたほか、小松市の子供歌舞伎を手伝ったり、「名古屋むすめ歌舞伎」のための新作台本を書き起こしています。
また大学で授業をしたり、病人とは思えないヴァイタリティあふれた日々を過ごします。視線が常に前を向いて、足を踏み出し続けているのです。
日本人宇宙飛行士との交友のこととか、家族との関わりとか、歌舞伎の演目のこととか、そこここにユーモアが散りばめられ、歌舞伎がこちらに近づいてきてくれた本です。