練り粕です。この辺ではベタ粕などとも言いますが、全国的には奈良粕って言うのかな?奈良漬けが有名ですから。
お酒を搾った時に出る板状の粕を放置しておくとこのようになります。以前、我が家でも蔵元さんから頂戴した貴重な板粕を、冷蔵庫で大事に取っておいたらこのようになってしまったことがありまして、変化の過程が良く分かり勉強になりました。香りがどんどん変わって行くんですよね。ただ、常温なら理解できますが、冷蔵庫内で練り粕になったのは面喰いましたけど…発酵力が旺盛だったんでしょうな。
ドロ~ンとしてナスやキュウリを漬けこむのに最適、私は好物の人参を漬けたことがあります。人参だと水分が出てこなくて楽なんですわ。
ところで、この練り粕も含めて、酒粕がもう何年も不足気味なんですよ。大手の酒蔵さんが粕の出ない酒造りの方法を開発したのは何年前だったかな?今まで粕を大量に出していたところがそれ以来あまり出さなくなったんですから、そりゃ不足してしまいますわな。どんな造り方かって…その話しはまたあらためて。
そんな要因もあって、酒粕が年々ジワジワと値上がりしております。もちろん理由はそれだけじゃないんでしょうけど、市場原理が働いているのは明らかですな。中小の酒蔵さんは粕を出す従来の酒造りを続けていますが、それだけでは全然足りないんですよ。じゃあ大手がかつてのように粕を出す製法に戻せばいいのか… 昔は粕のやり場に困って不法投棄してた酒蔵さんがあったくらいですから、沢山あっても良いことばかりではありませんし。
何事もバランスが大事なんだという一例ですが、では誰がそのバランスをとるのか… 難問ですねぇ。